2012年1月12日木曜日

「つけ麺 坊主」訪問

用事があって久しぶりに水戸に出かけたので、お気に入りのラーメン屋「つけ麺 坊主」に寄ってきた。今回は、その探訪記。

正月をはさんだせいもあるけど、「坊主」にいくのはほぼ一ヵ月半ぶり。勤め人時代は、毎日のように通っていたときもあったのにね。

水戸駅北口近くのJTBの角を千波大橋のほうに曲がって歩いていく。店はこの通りを少しいったところにある。
歩きにくい狭い歩道を進むうちに、もう私の気持ちはわくわくしてくる。今日はどんな出来具合かな…。久しぶりのせいもあるけど、毎日通っていた頃も、店に近づいていくにつれ、このわくわく感がいつもあった。
やがて店の前に立ててある2,3本ののぼりが見えてくる。店の名前とか「超激辛」なんて文字が染め抜いてある。と同時に私はもう券売機用のお金を用意し始める。

問題は席が空いているかどうか。ここに来るときは、12時から1時の間は避けることにしている。席待ちで並んでいる場合があるからだ。
この日は12時15分前。ちょっと半端な時間だ。自動ドアが開いて中をのぞくと、券売機に並んでいる人がいたが、席は空いているようだ。L字型のカウンター席のみの店で、席数は12席。
券売機でいつものように「特製ラーメン」と「白めし」と「ビール」のボタンを押す。つけ麺の店だけど、私は大体いつもつけ麺ではなくラーメンを頼む。「白めし」つまりライスは、私にとってはラーメンに必須のつきもの。それとビールもね。

席について食券をカウンターに置くと、御主人が麺の量とライスの量を訊いてくるので、どちらも「ふつうで」とお願いする。大盛りでも値段は変わらないのだが、そして私も食べきれないわけではないのだが、「ふつう」にしている。大盛りにすると、麺と具のバランスが崩れるし、食べるのに時間がかかるので、最後の頃、麺が延びたり冷めたりして美味しく味わえないのだ。おいしく食べ終えるには、やはり標準(デフォルト)の量がいいと思う。

ここのカウンターの色は赤である。もちろん唐辛子のイメージ。客は私を入れて8人、7割の入りということになる。ただし、私以外は全員スーツの男性。いつもは、もっといろいろな客層がいるのだが。
サラリーマンのみなさんのあいだに、セーターを着たおやじ(私)が一人。このおやじは、早速運ばれてきた中ビンのスーパードライを、昼間だというのにぐびぐびと飲み始めるのであった。

カウンターの中は、スープの寸胴、ガスコンロ、雪平、麺を茹でる大鍋、流し場がコンパクトに配置され、これを御主人がひとりで切り盛りしている。
ここの御主人の動きが、きびきびしてじつに気持ちいいのだ。注文を受けて麺を鍋に投入すると、シャカシャカシャカと箸できっちりほぐす。茹で上がると,テボでの水切りも力を入れて全身を使う。つけ麺の場合はここで流水で麺を締めるわけだが、このときの洗い方も勢いがある。
また使った鍋や食器の洗い方も、きっちりしていて小気味よい。そんな風だから、店の中は当然きちんとしていて清潔である。
とにかくどの動きにも、手を抜かない本気と真剣さがあらわれている。そんな御主人の様子を見るのが、私のこの店の楽しみの一つなのだ。

やがて、出来上がったラーメンのどんぶりが、どんと目の前に置かれる。赤いスープの上に、もやしと豚のバラ肉が見え、その上に刻みネギが散らしてある。
さてここからは、無我夢中の時間の始まりだ。ビールはこのときまでに飲み終えてある。
スープをレンゲですくう。やっぱり辛くてうまい。用心したのに、やはり少しむせてしまう。以前紹介した自分で作っているナンチャッテ・ラーメンと比較するべく、2口,3口はじっくりと味わう。今回はとくに脂がうまいと感じる。バラ肉の脂の旨みがかなり出ているようだ。やっぱり、私の使っているチューブのラードではこうはいかない。しかし客観的な吟味は、これでおしまい。

麺をすすり、もやしを口に運び、スープを飲んでいるうちに、だんだん気持ちに弾みと勢いがついてくる。麺はあいかわらずもちもちとコシがあって美味しく、もやしはしゃきしゃき感がほどよい。スープは激辛だが、旨みが豊かで私にはそれが味わえるくらいのちょうどよい辛さ。

熱いし、辛いし、旨いしで、ハフハフしながら食べることにどんどん熱中し、没頭してしまう。文字通り無我夢中である。
私は熱くて辛いものを食べると鼻水が人一倍多量に出るたちらしい。この店にはそのような人のために、カウンター上にティッシュの箱が用意してある。
「無我夢中」中の私は、何度も何度もこのティッシュでひんぱんに鼻をかみ、頭と顔面と首筋に噴出する汗をハンカチでひんぱんにぬぐい、そしてときどきラーメンの「口直し」にライスの茶碗に持ち替える。かなり、忙しい状態である。そして、心は無心だ、何も考えていない。

やがて時が経ち、どんぶりを両手でかかえスープの最後の一滴を飲み干すことになる。そして、コップの水を一息で飲みきるころ、やっと私はわれに帰る。こっちの世界に戻ってくるのだ。
ああおいしかった。この上ない満足感と、満腹感。そして、大量の鼻水と汗が排出されたせいで、体がすっきりした感じになっている。

さてラーメン屋に長居は禁物。食器をカウンターの上段に返し、自分が食べた後をふきんできれいに拭く(これはこの店のルール)。最後にティッシュで鼻をかむと、「ごちそうさま」と言って席を立つ。体はまだ熱いので、上着は着ないで抱えたまま。外はかなり寒かったが、幸せな気分だった。
「つけ麺 坊主」は本当にいい店です。
次回はいつになるやら

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