2013年12月9日月曜日

続・炒めスパ日記 豆腐スパゲッティの巻


■■ □月×日 豆腐スパを作るが何だか今ひとつ

私は大の豆腐好きだ。そこで、炒めスパゲッティを、豆腐と合わせたら美味しいのではないかと思いつく。
我ながらいい考えだと思った。こんなことを思いついた人は、これまでいなかったのではないか。そう思ってネットで見てみたら、何と、すでにたくさんの豆腐スパのレシピが紹介されていたのだった。びっくり。おろしスパゲッティのときもそうだったけど、世間にはいろんなことを考える人がいるんだなあと感心する。

紹介されている豆腐スパゲッティのレシピを見てみる。だいたい豆腐を細かく砕いて混ぜ、クリーミーなソースのようにして麺と和えているようだ。クリーミーにするために、ミキサーにかけている人もいた。
私としてはそこまでクリーミーであることにこだわるつもりはないのだが、とりあえず豆腐ソース的なイメージが浮かんできた。
そこで、いつもの麺と具材を炒めるフライパンとは別に、もうひとつフライパンを用意して、あらかじめ豆腐だけ炒めることにする。豆腐は荒くほぐして炒め始めたのだが、結局炒めているうちに細かく砕けてしまった。ここに、ゴマ油とオイスター・ソースとしょう油で、香りと味をつけた。何となく中華風の感じだ。

そしていつものようにスパゲッティを茹で、さらに具材と一緒に炒める。味付けは塩少々。これをお皿に盛りつけ、その上に、先ほどの炒めた豆腐をかけた。なかなか見栄えはいい。

さて、いただきます。うーん、何となく味が中途半端。追加でしょう油を少し回しかける。豆腐によるマイルド感は十分にあるのだが、豆腐の風味が期待していたほどではない。炒めたから当然か。ようするに、豆腐の味を活かしきれていない感じ。残念。


■■ □月△日 豆腐はあまり手を加えないことにする

スパゲッティと一緒に豆腐の風味をもっと味わいたいと思った。考えてみれば、私がいちばん好きな豆腐は冷奴だった。湯豆腐もいい、麻婆豆腐も美味しい。しかし、豆腐の風味と食感を最高に味わえるのは、やはり冷奴だろう。

私の好きな豆腐の食べ方に、「冷奴丼」というのがある。ちなみに、これは私の命名。どんぶりによそったご飯に、冷奴をのせる。お箸を使ってこの冷奴をご飯の上でぐちゃぐちゃに崩す。そこへ少ししょう油をたらす。熱いご飯と一緒に崩した豆腐を口に運ぶと、豆腐の風味が口の中いっぱいに広がるのだ。
これを炒めスパゲッティでやってみることにした。冷奴スパだ。

1丁の豆腐を、庖丁でたて半分にする。それを横にして、ようかんのように、厚さ1センチくらいに切っていく。正方形に近い厚さ1センチの豆腐がたくさん出来る。
炒めスパゲッティは、基本のしょう油味できちんと味をつけておく。これをお皿に盛り、その上に四角い豆腐片をバラバラと散らした。冷たいままだと麺が冷めてしまうので、豆腐はのせる前に電子レンジで1、2分ほど温めておいた。
麺の上にのった豆腐を、フォークでざっと崩し、豆腐に味をつける分だけしょう油を回しかける。なかなか豪快な見た目になった。

さて、いただきます。食べるときは、フォークでさらに豆腐を細かく崩し、麺と絡めるわけだ、しかし、麺の上のため「足場が悪い」こともあり、また少し加熱したせいもあるのか、なかなか思うように豆腐は細かく崩れない。しかし、それはそれで豆腐を食べているという食感があって悪くないような気もしてくる。
一応美味しい。だが、さらにもっと豆腐の風味を味わいたいと思った。麺に対して豆腐が少なかったのだろうか。


■■ □月□日 再び冷奴スパ。「何だか満腹だ」

再度、冷奴スパゲッティを作ることにする。
前回、豆腐の風味が物足りなかったので、今度はどーんと奮発して豆腐は2丁用意。
あとは同じ作り方で、炒めたスパゲッティの上に、2丁分の四角い豆腐片を散らす。麺の量がもともと大量なので、そんなに豆腐が多いようには見えない。
これを、ぐしゃぐしゃと崩しながら麺と一緒に食べる。豆腐と麺との絡みはあまりよくないが、とにかく豆腐の味を満喫して完食した。しかし今回は何だかすごく満腹になった。そうか、いっぺんに豆腐を2丁も食べたわけだから、満腹になるのは当たりまえだった。


■■ □月○日 クリーミーな豆腐スパに戻る

初心に帰り今度は豆腐をつぶしてクリーミーな状態にしてみることにする。こうすれば、麺との絡みもよくなるし、少なめの豆腐でももっと風味を味わえるのではないかと反省したのだ。
それと、もうちょっと値段の高い豆腐を使うことにする。何しろこれまで使っていたのは、スーパーでいちばん安い2丁で98円のもの。これにあまり風味を期待する方が無理だったのかも。
高いものはきりがないが、これまでよりも、もうちょっとランクが上の1丁で105円のを買ってきた。

豆腐をボールに入れ、泡立て器で細かく崩す。今回は風味が優先で、食感には眼をつぶる。味はしょう油ではなく塩だけにしてみる。また、これまでのようにレンジでの加熱もしないことにする。どちらも豆腐の風味を活かすためだ。
これをお皿に盛った基本のしょう油味のスパゲッティにかける。今度は、なかなか素敵で上品な外観だ。

では、いただきます。
美味しい。想定していたとおり、麺との絡みもいいし、豆腐の風味も豊か。しかし何というか味にメリハリがない。マイルドで一様な味が、どこまでも続いている感じ。ちょうど大量のカルボナーラとか、大量のグラタンを食べているときみたいだ。だんだん飽きてしまう。なかなか難しいものだなあ。


2013年12月8日日曜日

炒めスパ日記 おろしスパゲッティの巻


<まえがき 炒めスパゲッティについて>

このところ炒めスパゲッティに凝っている。炒めスパゲッティとは、スパゲッティを茹でてから具材と炒め合わせる料理のこと。麺は太麺(2,2ミリ)を使う。
本場のパスタは、ソースと和えたりするが、炒めるということはしない。だから炒めて作るスパゲッティは、日本独自の料理ということになる。なので私は、あえてパスタとは呼ばないことにしている。
昔々の日本におけるスパゲッティは、ミート・ソースとナポリタンしかなくて、麺は茹でておいたものを、あらためてフライパンで炒めていた。だからかつてこれを食べていた人にとって、炒めスパゲッティは懐かしい味でもあるのだ。
いずれにしても、炒めスパゲッティは、「高級」でも「本格」でもなく、ようするにB級でジャンク系の食べ物なのである。

そんなB級グルメの炒めスパゲッティの有名店が銀座のジャポネ。首都高速の高架下にあるこのカウンターだけの小さな店には、つねに行列が出来ている。この店の特徴は、とにかく安くて量が多いこと。そしてもうひとつ、味付けが多彩なことだ。どのメニューも茹でおいた麺をフライパンで炒めるのだが、しょう油、塩、明太子、梅のりなどの和風から、ザーサイ入りの中華風(メニュー名「チャイナ」)、カレーをかけたインド風(メニュー名「インディアン))、そしてもちろんナポリタンもある。

この店の味を自宅で食べたくて、自分で作り始めたのが最初だった。そのうちに、ジャポネの再現だけでなく、いろいろな味にチャレンジするようになった。
これがじつに楽しい。たとえばゆかりや塩昆布など、日本独特のものを味付けに使ってみたり、長ネギの緑の固いところだけを具材にしてみたり…。それぞれに新しい美味しさがあった。それにしても、どんな味も受け入れてしまうスパゲッティの懐の深さには、あらためて驚いてしまう。

工夫の結果、わりあいよく出来たレシピは、このブログでときどき紹介してきた。しかしその陰には、いくつもの失敗作もあったのだ。そして、そんな工夫と研究の日々は、さらにこれからも続きそうである。


■■ ○月×日 おろし炒めスパを作るが失敗

大根おろしが、わりと好きだ。
そこで大根おろしを炒めたスパゲッティにからめてみようと思いつく。イメージとしては、焼肉やハンバーグのおろしソースといった感じ。

いつものように麺を茹で、並行してフライパンで具材を炒める。麺を13分茹でてから湯を切る。これをフライパンに入れて具材と一緒に2,3分炒める。おろしソースをかけるわけだから、味付けは塩少々だけにする。

ところで大根おろしの栄養は、かなりデリケート。とくに薬効があると言われる辛味成分は、おろした直後からどんどん失われていくらしい。だから使う直前におろすものとされているわけだ。
またビタミンCも含まれているが、これはもちろん加熱すると壊れてしまう。
だから事前に大根をおろしておくわけにはいかないのだ。しかしそうなると、麺を茹でつつ具材を炒めながら、さらに大根をおろすわけで、かなり忙しい。やっぱり具材を少し焦がしてしまう。

何とか大量のおろしが完成。ほとんど水分だが、これを絞ると栄養分を捨ててしまうことになる。なので、いっさい水分は切らないで使うことにする。またビタミンCのこともあるので、温めずに冷たいまま使うことにする。
さてこれに何で味をつけるか。おろしソースのイメージなので焼肉のタレを加えてみる。これをお皿に盛った炒めスパゲッティにドバッとかけた。外観はなかなかいい感じだ。

しかし、たっぷりの冷たいおろしのせいで、せっかくの熱々の麺がすっかり冷やされてしまった。まあ考えてみれば当然だ。しかも、大量に含まれていた水分で、びちゃびちゃ状態になり、麺に絡んでいた油が洗い流されてしまう。そうなると風味が何とも物足りない。やっぱり、ある程度水分は切ったほうがいいみたいだ。
というわけで失敗。それでも、もちろんちゃんと全部食べた。


■■ ○月△日 おろしはトッピングのつもりで

再度おろしスパに挑戦。今回は、やはりおろしの汁を軽く切ることにする。おろした大根を、ザルにそっとあける。そのまま絞ったりしないで、自然に水分が下に落ちるのにまかせる。

それから、大根おろしはソースではなく、トッピングとして考えることにした。麺にちゃんと味をつけて、もっとこってりした感じにしたかったからだ。
おろしには、おろしの分の味付けしかしない。ソースではないので、スパゲッティの分の味まではつけないわけだ。今回は、おろしの味はしょう油味にする。

スパゲッティの味は、この間、考えついた基本のしょう油味。これは、しょう油と、だし粉と、マヨネーズ少々を使う。とても美味しい。
お皿に盛ったこの基本のスパゲッティに、ザルで水分を軽く切ったおろしをのせる。そしておろしには、しょう油をひと回したらした。

こうして一応それなりに美味しいものができた。しかし、ビックリするほどでもない。やっぱり麺が少し冷めてしまうのと、おろしと麺のからみ具合が今ひとつなのがちょっと気になる。


■■ ○月○日 発想を変えておろしで「つけスパ」

ときどき大根があまっているとき、おろしそばを作ることがある。大量の大根おろしに麺つゆをかけ、これをそのままつけ汁代わりにしてもりそばを食べるのだ。そばにたっぷりとおろしをからめる。そばを食べるというより、むしろ大根おろしを食べている感じ。私にとって、これは大根おろしの最高に美味しい食べ方だ。

これと同じやり方で、炒めたスパゲッティをつけ麺として食べたらどうだろうと思いついた。
そもそも「つけスパゲッティ」というのは、なかなかユニークな思い付きではなかろうか。と思って、ネットで調べて見たら、何とそういうメニューはすでにたくさん紹介されていた。しかも何と、それ用の麺とソースも市販されているのだった。驚いた。でも、大根おろしをつけ汁にする例は、さすがにないようだった。

気を取り直して製作開始。
冷たいつけ汁につけると、麺も冷えてちょっと食感が固くなる。そこで麺はあらかじめ長めに茹でて、やわらかめにしておく。とりあえず、ふつうなら13分のところを16分にしてみる。
つけ麺の場合の麺は、水にさらして冷たいのがふつうだ。しかしこの場合のスパゲッティは、茹でてからいつものように炒めて、温かいまま食べることにする。一種の「あつもり」だ。ただしつけ麺なので、具材は取りあえずなし。
フライパンに油をひいて麺を炒めながら、塩としょう油だけで下味を付けてみた。つけ汁につけるときに洗い落とされてしまうかもしれないのだが。しょう油が焦げて香ばしい。

この「素(す)」炒めスパゲッティ」をお皿に盛る。
ちょっと味をみてみたら、これが何とも美味しい。まさにシンプルな美味しさだ。シンプル&ジャンク。大量の大根おろしは、深めの鉢に盛り、麺つゆを加えておく。
さて、いただきます。今回はやはりフォークではなくてお箸を使う。麺を数本ずつ取っては、おろしにからめて食べる。
美味しい。下味もちゃんと効いているし、油分もあってさっぱりし過ぎない。麺の固さもちょうど良い。
ときどき、おろしをつけないで「素」炒めスパゲッテイとして食べる。これがまた美味しい。ちょうどよい口直しになる。
大根おろしと一緒に食べる食べ方としては、これがいちばんだと思った。


2013年12月4日水曜日

ページ・ヴュー30000回達成 うれしい


このブログのページ・ヴューが、ついに30000回を越えた。見に来てくれた延30000人のみなさんどうもありがとう。

振り返ってみると、去年の1月に初めたこのブログが、ページ・ヴュー10000回に達するのに14ヶ月かかっている。1年と2ヶ月だ。ところがその後、20000回は、6ヶ月弱で越えることができた。つまり最初の10000回に要した期間の約半分で、次の10000回が達成できたことになる。加速しているわけだ。
この割合でいくと、次の10000回は3ヶ月で達成ということになるが、まさかそれは無理だろうと思っていた。ところが、3ヶ月と約10日で、本当に30000回に達してしまったのだ。これには自分でもちょっとビックリ。そして、もちろんすごくうれしい。
この割合でさらに加速が続けば、次の10000回は、1ヵ月半後ということなるが…、それはまさか無理でしょう。

このところの一日のページ・ヴュー数は、かなりばらつきがある。多いときで200弱、少ないときで60くらい。あまり気にしてもしょうがないのだが、30000ページ・ヴューが近づいてきたここ何日かは、やはり毎日チェックして一喜一憂してしまった。
ところで最近気がついたことなのだが、ページ・ヴュー数の多い日は、海外、とくにアメリカからのアクセス数が多いのだ。どんな人が見に来ているのだろう。もちろん日本語が読める人たちなのだろうな。ありがたいけど、それにしても不思議だ。

前回20000回達成のときの記事で、これからは落語や映画についてもっと触れたいと書いた。けれどもあれから3ヶ月、結局まだ果たせていない。まあ今後の課題ということで。ただし長く続けてきた「つけ麺 坊主」の訪問記は一応終了させた。ちょっと寂しいけど。
この3ヶ月間は、『レコード・コレクターズ』誌に気になる記事がいくつもあって、これをネタにしていろいろ書いた。関連のある手持ちのCDを聴き直して、その感想などをまとめてきた。いちいち聴き直すので、けっこう手間と時間がかかるのだが、それがとても楽しい。読んでくれた方にも、この楽しさを共有して欲しいと願って書いているのだが、果たしてうまくいったかどうか。

それから、この間ずっと炒めスパゲッティを作って食べていた。いろいろ工夫を重ねて、うまくできるとそのレシピをちょっとした苦労話と一緒に公開してきた。読み物としてのレシピを目指しているのだが、何となく中途半端かもしれない。なお今度は数々の失敗レシピについてまとめる予定だ。

20000回達成のとき、それまでの記事別のページ・ヴュー数ベスト10を紹介した。面白いことに、今回の時点でのランキングも、前回とあまり変化はなかった。やはり、ローリング・ストーン関係の記事が、上位1位と2位を占めている。強いなあ。
ちなみにここ1ヶ月間のランキングを見てみると、ライヴ・アルバムの完全版が出たザ・バンドや、来日公演が話題となったポール・マッカートニーについて書いた記事へのアクセスが上位にきている。どちらも我ながら良く書けている記事だと思っているので、多くの人に読んでもらえてうれしい。

前回も書いたけどこの私のブログは、見た目が無愛想で文章がやたらと長い。今後もとにかく実質本位で続けていきたいと思っている。相変わらず「日記」というには、間が空きすぎているけれど。
折しも時は師走。隠居しているとはいえ、この時期はわりと忙しい。大掃除や年賀状、そして帰省する身内を迎える準備など、何かとあわただしい日々が続く。いつもより多少ブログ執筆の回数も減ると思われるが、まあマイペースでがんばろう。

それではこれからもどうぞよろしく御愛読を。