2014年5月28日水曜日

ペイジ&プラント 『ノー・クォーター』


今回のレッド・ツェッペリンのリイシュー・プロジェクトを勝手に記念して(?)、ツェッペリンをカヴァーしたアルバムのペスト3を選ぼうと思った。
セルフ・カヴァーも含め、あらためていろいろ聴き返してみたら、ツェッペリン・カヴァーの最高峰は、やっぱりジミー・ペイジ&ロバート・プラントの『ノー・クォーター』だった。あらためて再認識した次第。
というわけで、カヴァー・ベスト3はとりあえず置いといて、今回は『ノー・ク;オーター』について。

ペイジ&プラントの『ノー・ク;オーター(No Quarter: Jimmy Page & Robert Plant Unledded)』(1994年)』は、例のMTVアンプラグド発の企画アルバム。
原題にある「Unledded」は、番組アンプラグドのこの回のタイトルとのことだ。もちろん「アンプラグド(unplugged)」にかけているわけだが、さらに「unleaded(無鉛)」と、おそらくは、「Un-Led Zeppelin-ed (つまりツェッペリン抜き)にもかけていると思われる。

ちなみにこれに先立つ1990年に、「Un-led-Ed」というタイトルのツェッペリンのカヴァー・アルバムが出ている。ドレッド・ツェッペリン(Dread Zeppelin)(笑)というバンドのアルバムだ。ツェッペリン・ナンバーを、何とレゲエにアレンジしてカヴァーするというオフザケなアイデアなのだが、驚いたことにこの演奏がじつに素晴らしい(これを聴いてペイジは激怒したとかしないとか)。

さて、『ノー・ク;オーター』は、非常に評判が悪いアルバムだ。
これはツェッペリンの曲をアンプラグドつまり、アコースティックなアレンジで演奏したアルバムでは、全然ない。大半の曲を主に中近東風にアレンジした、ワールド・ミュージック的サウンドのアルバムなのだ。
そのためにツェッペリン・クラシックスの再現を期待したファンたちが、がっかりしたのもわからないではない。また、ワールド・ミュージック通の人たちは、その中途半端なアプローチの仕方が、物足りなかったらしい。

しかし時は流れた。このアルバムが発表されてから、今年でちょうど20年。ツェッペリンの再結成は、この間、別の形で実現した。そして、ワールド・ミュージックのブームもすでに去ってしまった。
今ならよけいな期待感なしに、白紙でこのアルバムを聴くことが出来る。するとあらためてこれはなかなかの傑作だということがわかるのだ。

何よりいいのは、ペイジとプラントが本気でやっていることだ。昔の曲をちょこっとやって、小遣いを稼ごうぜ、みたいなよくある話とは全然違う。
過去の曲を素材にしながらも、新しいものを創り出そうという二人の意気込みが伝わってくる。
プラントは、解散後ソロになってからずっと、ツェッペリン時代の曲を歌おうとしなかったという。そのプラントが、はじめてここで歌うことにしたのは、あくまで新しい曲として彼が取り組んでいたからだろう。
そんな二人のこだわりと、やる気のために、この回のアンプラグドは、それまでとかなり違う異色の展開になったわけだ。

CDに収録されているのは、全14曲。これらは、3種類の音源からなっている。MTVでのライヴ録音が9曲、スタジオ録音の曲が2曲、モロッコで現地ミュージシャンと録音した曲が3曲。CDには、これらがシャッフルされて収録されている。
特徴的なのは民族音楽的な要素が全編をおおっていることだ。モロッコでの3曲はいずれも新曲だが、現地ミュージシャンの音楽性を生かして当然モロッコ風。スタジオ録音の2曲「俺の罪」と「ノー・クォーター」も、トラッドから民族音楽へとつながっていくような曲調だ。
MTVライヴの9曲の内、4曲は例外で原曲に近い形での演奏。この仲の「サンキュー」、「ザッツ・ザ・ウェイ」、「ギャロウズ・ポウル」など、アコースティック・ギターがメインの曲は、いかにもアンプラグドの本来の趣旨にそった選曲だ。過去のツェッペリンを期待して会場に集まったファンへのサービスといったところか。
その他のライヴ5曲の内、1曲がオリエンタル風の気の抜けた新曲。残りの4曲はいずれも、旧作をアラブ~インド風にアレンジした魅力的な演奏だ。とくに「フォア・スティックス」、「フレンズ」、「カシミール」の3曲には、エジプト人のパーカッションとストリングスなどが加わり、強力な演奏を展開してこのアルバムのハイライトになっている。

なおアメリカ版リマスターCDには、手元のCDでは聴けない「The Truth Explodes」と「The Rain Song」が収録されており、また、DVD版はこれにさらに「レヴィー・ブレイク」を加えた全17曲収録とのこと。欲しいなあとは、思うのだが…。

以下、CDの曲順ではなく、以上述べた音源ごとに各曲についてコメントしてみる。


■スタジオ録音

「俺の罪(Nobody's Fault but Mine)」

 原曲はブラインド・ウィリー・ジョンスンのブルース。『プレゼンス』では、ハード・ロックだったが、ここではバンジョーやハーディ・ガーディも入ってのアコースティックな演奏。トラッドと民族音楽が融合した感じ。

「ノー・クォーター(No Quarter)」

ヴォーカルとギターのみの演奏。歪んで深くエコーのかかった音は、ダークで荒涼とした世界を描き出している。まるで寒々としたイギリスの荒野を思わせるようだ。
ブリティッシュ・トラッドが、ときおり垣間見せるクールで荒涼とした手触りを、まさに抽出したような曲だ。

■モロッコ録音(すべて新曲)

「ヤラー(Yallah)」 

ドラム・ループに乗ってのインプロヴィゼーション。なかなかカッコいい。

「シティ・ドント・クライ(City Don't Cry)」
「ワー・ワー(Wah Wah)」

 現地ミュージシャンとの共演。ヒーリング感あふれる牧歌的な曲だ。

■MTVでのライヴ録音

「限りなき戦い(The Battle of Evermore)」

 もともとは、サンディー・デニーとのデュオによるトラッド色濃い曲だった。ここではインド人の女性ヴォーカリスト、ナジマ・アフタールをサイド・ヴォーカルに迎えている。
ナジマのヴォーカルは、朗々として伸びやか。マンドリンが前面に出ている演奏は原曲と同じだが、ナジマのコブシ回しのマジックによって、ハーディ・ガーディやパーカッションがインド風に聴こえる。これはこれで、なかなかよい。

「ワンダフル・ワン(Wonderful One)」

 新曲。ドラム・ループとギターの伴奏に乗って歌われるちょっと東洋風の曲 全然面白くない。

□MTVライヴのうち、エジプト人のパーカッションとストリングスなど(エジプシャン・アンサンブル)を入れた3曲 

「フレンズ(Friends)」

 アラブ風のイントロ付き。オリジナルの不穏で邪悪な陰りが、みごとにアラブ風に変換されている。

「フォア・スティックス(Four Sticks)」

 オリジナルは平板でつまらない曲だった。しかしここでの演奏は、この曲の新しい魅力を引き出している。ものすごい勢いで吹き抜けていくアラブの風が心地よい。

「カシミール(Kashmir)」

もともと中近東っぽい曲調だったが、さらに全体にスケール・アップして、インドから中近東に至る広大なエスニック・サウンドが展開している。
オリジナルの曲の本編の後に、このステージのための独自のエンディング・パートが4分にわたって付け加えられている。この演奏がとくに素晴らしい。途中で「ブラック・ドック」の一節も聴こえる。
まさに感動の一曲。

□MTVライヴのうち、オリジナルのアレンジにそった演奏の4曲

「サンキュー(Thank You)」

ほぼ原曲どおりの演奏。
ヘンテコなアレンジばかりでは、がっかりする人もいるだろうとの配慮からのファン・サービス(?)。
原曲より長いギター・ソロがあるが、いまひとつ冴えがない

「あなたを愛し続けて(Since I've Been Loving You)」

オリジナルはツェッペリン流ブルースの傑作。
ここでもほぼオリジナルどおりの演奏なのだが、ロンドン・メトロポリタン・オーケストラによるバック付き。華麗なストリングスが聴こえてきた時点で、私は完全にシラけてしまいました。

「ザッツ・ザ・ウェイ(That's the Way)」

ここから2曲は、アコースティック・ギター中心で、本来のアンプラグドの趣旨にのっとった選曲(それとも、エレクトリックの曲をアコースティックにアレンジして演奏するのが、アンプラグドの趣旨だったかな)。

オリジナルは浮遊するようなスライド・ギターの音が、夢見るような甘美な特別の世界を作り出していた。ここでの演奏は、スライドなしで、バンジョーとリズム隊入り。何だか普通の演奏になってしまった。

「ギャロウズ・ポウル(Gallows Pole)」

これもほぼオリジナルにそった演奏。
マンドリンとバンジョーがない代わりに、エジプトのストリングスが薄く入っている。それなりの出来。

参考文献:三田真「リフ中心の曲作りが開いたワールド・ミュージックへの扉」『レコード・コレクターズ』19962月号


2014年5月26日月曜日

ラーメン自由自在 タモリ流ラーメン・レシピのアレンジ


前回タモリ流ラーメンのレシピについて、いろいろ研究してみた。タモリ・レシピのいちばんの特徴は、いろいろなダシを調合して手軽に美味しいスープを作ることだった。
タモリのオリジナルのレシピは、醤油ラーメンだったが、このダシの調合を、いろいろアレンジして、塩、味噌、豚骨ラーメンを作ってみた。
もちろん本格的な味には及ばないけれども、お手軽にそれなりの味を楽しむことはできると思う。お試しあれ。


《タモリ流ラーメンのアレンジ・レシピ》

・材料

<
>
即席袋めん/1袋  または 生中華めん/1玉

<スープ>
下表のとおり。

スープの材料表 (お湯500ccに対して)



醤油ラーメン
塩ラーメン
味噌ラーメン
豚骨ラーメン

タレと
メイン
のダシ

・醤油/大さじ1
・鶏がらスープの素/小さじ1
・鶏がらスープの素/大さじ1
・塩/少々
・味噌/お玉1/
・豆板醤/小さじ1
・鶏がらスープの素/小さじ1
・白湯豚骨スープの素/大さじ1

和風
ダシ

・昆布だし/1グラム
・ほんだし/1グラム

動物系ダシ

・中華スープの素/1g
・鶏がらスープの素/1g

その他

・野菜/適量(または 砂糖/1グラム)
・油(ネギ油 ニンニク油、ごま油など)/小さじ1

*昆布だしがないときは、白だし(小さじ1)でも可。
*豚骨ラーメンのときは、動物系ダシに鶏がらスープの素を使う。中華スープの素は、ポークまたはビーフ・エキスがベースなので、豚骨スープの素とかぶってしまうため。
*湯を鍋で沸かしながら、野菜を煮込むと旨みと甘みが出て、より美味しくなる。野菜は、キャベツ、タマネギ、長ネギ、もやしなど。ない場合は、代わりに砂糖を入れると意外に美味しい。

<トッピング>
刻みネギ、メンマ、チャーシューなど(もしあれば)

*以下のようなものも入れると美味しい。
ハム、海苔、ごま、ニンニク(チューブ)、魚肉ソーセージ(これはとくにおすすめ)


・作り方

1
トッピングを用意する。
2
鍋に水と適当に切った野菜を入れて沸かす。
3 お湯が沸いたら、上の表に従って、ダシを入れて溶かす。
4
仕上げにタレ(醤油、味噌など)と油を入れて味を確認する。
5 別の鍋で麺を茹で、湯切りして丼に入れる
6.
丼にスープをそそぎ、トッピングをのせて完成。


2014年5月21日水曜日

タモリ流インスタント・ラーメン・レシピの研究


■はじめに

タレントのタモリ(敬称略)は、料理好きとしても有名だ。ときどき番組の中で、自分流のレシピを紹介すると、そのつどネットなどで話題になっているらしい。
タモリのレシピの特徴は、びっくりするほど独創的でありながら、すごく簡単で、しかも間違いなく美味しいということだ。
そんなタモリ流レシピの中でも、もっとも評判になったのがスープから作るインスタント・ラーメンのレシピだろう。

ここでは、このラーメンのレシピについて、番組で紹介されたオリジナルのレシピと、最近出た『タモリめし』という本に紹介されているレシピ、そしてそれを私なりにアレンジしたレシピの三つを紹介しながら検討を加えてみようと思う。


■タモリについて

敬称は略しているけれども、私はタモリを敬愛している。
まず芸人として面白い。ただし私の好きなタモリは、お茶の間の人気者になるずっと以前の初期の彼だ。中州産業大学や全冷中やハナモゲラ語やソバヤソバーヤなどをやっていた頃のタモリ。知的で毒があって刺激的だった。ああ懐かしい。

しかしタモリはその後も、さまざまな分野でその多才ぶりを発揮してきた。たとえば、NHKの番組『ブラタモリ』で見せる街歩きの際の軽妙で独自な目線。それから日本坂道学会副会長としての坂道に対する独特の美学。そして、その多才さのひとつがタモリ流のユニークな料理の世界ということになる。
ようするに、タモリは根っからのこだわり人間であり、また何でも自分流に楽しんでしまう人なんだと思う。私もあやかりたいものだ。


■レシピその1 番組で紹介されたオリジナル・レシピ

2010314日放送の『笑っていいとも!増刊号』でタモリが披露したのが、このインスタント・ラーメンのレシピ。放送後、主にネット上で大きな評判を呼んだ。実際にこれを作ってみた人の記事が、いくつも公開されている。
私はこの番組そのものは見ていない。ネット上のいくつかの記事をまとめると、このときタモリが披露したレシピは、以下のようなものだったらしい。

《番組で紹介されたタモリ流インスタント・ラーメンのレシピ》

・材料

<
> 即席袋めん(メーカーは問わない)

<ベーススープ> 鶏がらスープの素、昆布だし、ほんだし、中華スープの素

<
味付けスープ> 醤油、ネギ油、ネギ

<トッピング> メンマ、チャーシュー

*量は全て目分量
*中華スープの素についてタモリは、ユウキ食品の「味玉(ウェイユー)」を推奨しているとのことだ

・作り方

1
ネギをきざむ。
2
お湯に鶏がらスープの素、昆布だし、ほんだし、中華スープの素を入れ、ベーススープを作る。
3
チャーシューを薄切りにする。厚みは5ミリがベストとか。
4
ラーメン丼に、醤油、ネギ油、きざみネギを入れ、味つけスープを作る。
5
別の鍋で茹でた麺を、湯切りして丼に入れる。
6.
丼にベーススープをそそぎ、チャーシューとメンマをのせて完成。

・筆者(御隠居)の所見

このレシピの大きな特徴は次の3点だろう。

①既製のダシを使っていること
しかも4種類も使っている。
鶏がらスープの素と中華スープの素(ビーフまたはポークのエキスがベース)は動物系ダシで、昆布だしとほんだしは魚介系ダシ。つまり、いわゆるダブル・スープを意図しているわけだ。しかもそれぞれ2種ずつ使って、味に奥行きを出そうとしていることがわかる。

ただ、こういう粉末のダシは、塩分が含まれているのが普通。あまり入れ過ぎると、醤油なしでもかなりしょっぱくなってしまう。ネットで実際に作った人の出来上がり写真を見ると、どれもスープの色がかなり薄め。たぶん醤油の量を少なめにしないと塩気が強くなり過ぎてしまうためだと思われる。

②材料の分量が目分量なこと
ベテランの料理好きならではのことなのだろう。
しかし、いちいち量(はか)らない方が豪快でプロっぽく見えるから、多少、演出があるのかもしれない。

③スープを、ベーススープと味付けスープの二つに分けて作ること
本当はここがいちばん注目される特徴かもしれない。しかし、これは、「本格」風を演出するためのタモリのナンチャッテ・パフォーマンスなのではないか、と私はみている。お店で作っているなら意味はあるが、自分で一人分だけ作るなら分ける意味はあまりないと思うからだ。

でもとにかく、このとおりに作ると、インスタント。ラーメンがびっくりするほど美味しいのは間違いない。


■レシピその2 レシピ本『タモリめし』掲載のレシピ

最近(20145月)『タモリめし』という本が出た。タモリが番組で紹介した数々の料理の作り方を、一冊にまとめた本である。著者はタモリ自身ではなくて、大場聖史という人の監修となっている。この人が、タモリが喋った内容を、レシピの形に整えたものだ。

さて、この本にも、もちろん上のインスタント・ラーメンのレシピが紹介されている。しかも、こちらには、もともと目分量のはずだった材料の分量が、きちんと指定されているのだ。その内容は以下のとおり。

《『タモリめし』掲載のインスタント・ラーメンのレシピ》

・材料

<
>
即席袋めん/1袋

<ベーススープ>
鶏がらスープの素/小さじ1
昆布だし/小さじ1/
ほんだし/小さじ1/
中華スープの素/小さじ1/
お湯/400cc

<
味付けスープ>
醤油/大さじ1
ネギ油/小さじ1
ネギ/適量

<トッピング>
メンマ/適量
チャーシュー/2枚

*中華スープの素の分量は、「作り方」の説明文中では、小さじ1/2となっている。どちらが正しいのか?
*ここでもやはりタモリのおすすめの中華スープの素が、ユウキ食品の「味玉(ウェイユー)」であることが、ポイントとして紹介されている。

・作り方

作り方は上のオリジナル・レシピとほぼ同じなので省略

ただし、ひとつだけ違うのは、丼に麺とベーススープを入れる順序。上のオリジナル・レシピと逆になっている。
こちらのレシピでは、味付けスープの入った丼に、①まず先にベーススープをそそぎ、②その後、麺を入れている。

この方が味付けスープを溶かしやすいのと、盛りつけたとき麺が見えた方が体裁としていいためだと思われる。

・筆者(御隠居)による所見

ダシの分量から、この監修者は、ダブル・スープのベースを、鶏がらスープにはっきりと置いてメリハリをつけようとしていることがわかる。
また、お湯400ccに対して醤油大さじ1となっているが、これはかなり醤油が多めの感じだ。濃いめの汁を麺にからめて食べ、麺を食べ終えた後は、汁そのものは残すという前提だと思う。
鶏がらベースで、醤油味濃いめ。この2点から、この監修者は、中華そばとも呼ばれていた昔風のラーメンをイメージしていることがわかる。タモリ自身のオリジナル・レシピでは、そこまではっきりした方向性は出していないような気がするのだが。


■レシピその3 タモリ風ラーメンの略式レシピ

上に紹介したタモリ流レシピで、以前私もラーメンを作って食べた。もちろん美味しかった。その後どんどん自分流にアレンジしてきたので、しばらくこのレシピのとおりに作ったことはなかった。
この記事を書くにあたり、またオリジナルどおりに作ってみようと思ったのだが、材料が足りない。中華スープの素を切らしていた。このところ鶏がらスープの素で代用していたのだ。

せっかくだからタモリ推奨のウェイユーを使おうと思って、近所のスーパーを2、3店見てみたが、どこにも置いていなかった。代わりにライヴァルのウェイパー(味覇)は必ず見かけた。以前は、ウェイユーと両方置いてあったはずだが、ウェイパーに駆逐されてしまったのだろうか?(間違ってたらゴメン)。

しかし、ウェイユーにしろ、ウェイパーにしろ、こういう練りタイプの本格的中華スープの素を常備しているお宅は、そんなに多くはないだろうと思われる。
それから考えてみると、ほんだしはあっても、粉末の昆布だしも持っている家も少ないのでは。

そんなこんなで、なるべくふつうにある材料で代用しするなどして、工夫したのが以下の略式レシピである。タモリ・レシピの基本精神(?)は尊重しながら、本格よりも実質本位で、より簡単により美味しくを目指している。

《タモリ風ラーメンの略式レシピ》

・材料

<
>
即席袋めん/1袋  または 生中華めん/1玉

*もともとは、インスタント・ラーメンのレシピだったわけだが、もはや袋めんにこだわらない。生の中華めんもスーパーで手軽に安く手に入るのだから、こちらの方がおすすめ。

<スープ>
鶏がらスープの素/小さじ1
昆布だし/1グラム  または 白だし/小さじ1
ほんだし/1グラム
中華スープの素/小さじ1/4  または その他のだし1グラ ム
醤油/大さじ1(お好みで調整)
ネギ油/小さじ1  または ごま油/小さじ1
お湯/500cc
野菜/適量  または 砂糖/1グラム

*スープは、ベーススープと味付けスープに分けて考えないことにする。一緒に作っても大差なし。
*中華スープの素は、鶏がらスープの素があれば持っていないことが多いと思われる。その場合は、その他のもので代用する。コンソメ、オニオンスープの素、貝柱スープの素、豚骨白湯スープの素、さば、いわし系のだし等。とにかく何か一種類入れる。
*湯を鍋で沸かしながら、野菜を煮込むと旨みと甘みが出て、より美味しくなる。野菜は、キャベツ、タマネギ、長ネギ、もやしなど。ない場合は、代わりに砂糖を入れると意外に美味しい。

<トッピング>
刻みネギ、メンマ、チャーシューなど(もしあれば)

*以下のようなものも入れると美味しい。
ハム、海苔、ごま、ニンニク(チューブ)、魚肉ソーセージ(これはとくにおすすめ)

・作り方

1
トッピングを用意する。
2
鍋に水と適当に切った野菜を入れて沸かす。
3 お湯が沸いたら、鶏がらスープの素、昆布だし、ほんだし、中華スープの素を入れて溶かす。
4
仕上げに醤油、ネギ油を入れて味を確認する。
5 別の鍋で麺を茹で、湯切りして丼に入れる
6.
丼にスープをそそぎ、トッピングをのせて完成。

・おまけ
以上の略式レシピは、タモリの本格志向からはちょっと外れてしまったかもしれない(カンベン)。しかし、とにかく美味しい。とくにスープが美味しい。一見あっさりのように見えて、いろいろのダシ成分のおかげで、けっこう濃厚な味わいだ。なので、中華めんの代わりに、ためしにスパゲッティを使ったら、これが意外な美味しさ。うどんやそばでもいいんじゃないだろうか。おためしあれ。


2014年5月15日木曜日

レッド・ツェッペリンのリイシュー・プロジェクト開始


ついにレッド・ツッペリンのリイシュー・プロジェクトが始まってしまった。何で「始まってしまった」という言い方になるかというと、これでまたお金がかかりそうだからだ。

第一弾として、6月4日に初期3作品のリイシュー盤が発売されるとのことだ。
オリジナル・アルバムのそれぞれについて、次の3種のエディションが用意されている。
・スタンダード・エディション(リマスター盤のみの1CD)2000 円
・デラックス・エディション(コンパニオン・ディスク(つまりボーナス・ディスク)付きの2CD)2800
・スーパー・デラックス・エディション(上記2CDに、同内容の2LPやその他オマケがテンコ盛り)20000円(!

スーパー・デラックス・エディションは高いので問題外だけれど、気になるのは2CDのデラックス・エディションだ。
しかし、私は隠居生活に入るとき、リマスター盤とレア・トラックスものには、今後いっさい手を出すまい、と心に誓っている。だから、たとえば最近では、クリムゾンの『ザ・ロード・トゥ・レッド』も、またディランの『アナザー・セルフ・ポートレイト』も、我慢したのだった。今回のツェッペリンもやっぱり我慢だな、と思っていたのだった。しかし……、『レコード・コレクターズ』誌を見ていたら…。


■『レコード・コレクターズ』誌のレッド・ツェッペリン特集

今号の『レコード・コレクターズ』誌(20146月号)の特集は、レッド・ツェッペリン。もちろん今回のリイシューにちなんでのものだ。だから、内容も初期のツェッペリンと、ファーストからサードまでのアルバム3作について扱っている。

特集としてはかなり力が入っている内容だ。
まずジミー・ペイジが来日して行ったリマスター音源の試聴会レポートから始まって、初期ツエッペリン・ヒストリー、ジミー・ペイジ論、初期ツェッペリンの音楽性の分析、メンバーのツェッペリン結成以前の活動、そしてアルバム3枚分の全曲解説といった記事が並んでいる。いずれも充実した内容で読み応えがある。

とくに小野島大によるサード・アルバムまでのツェペリン・ヒストリーがよい。この筆者の文章には、独特のビート感があって、ぐいぐい読ませる。
松井功の記事「玉石混淆の荒野で曲に永遠の輝きを与えた“ロック折衷術”」は、ツェッペリンの音楽性についての分析。元ネタとの関係に触れつつ、このグループの独自な音楽性を解き明かそうとしている。独特のネチっこい文体で、やや読みにくかったりもするが、なかなかの労作。
ペイジが、ギタリストとしてよりも、むしろプロデューサー/サウンド・メイカーとしての技量において優れていると指摘して最後を締めているが、これには同感だ。

「全曲解説」は、ファースト・アルバムが小出斉、セカンドが行川和彦、サードが小山哲人の分担制。だが、いずれも、具体的な指摘を積み重ねた解説で読ませる。各楽器の演奏について具体的に触れ、歌詞やアイデアの引用元となったブルース曲なども指摘、さらにはペイジのギターのチューニングなどについてもきちんと書いてある。これまで私が知らなかった事実も満載で勉強になります。
またそうした具体性に加え、あちこちに興味深い指摘がある。
たとえばその一例。小山哲人は、サード・アルバムの「ザッツ・ザ・ウェイ」の解説中で次のように指摘する。
サード・アルバムにおいて、単にフォーク的と言われている曲も、じつはどれも複合的で一筋縄ではいかない曲ばかりである。このアルバムに対するファンの戸惑いは、「非ハード・ロック的な内容のみならず、アクースティック路線のとらえどころのなさに起因しているのかもしれない」という。なるほど、そのとおりだと思う。
いずれにしても、世間には、へんに感覚的だったり、抽象的だったり、あるいは下世話ネタに終始しているような曲解説が、まかり通っている。そんな中で、『レコ・コレ』誌のこの「全曲解説」は秀逸だと思う。

またこのツェッペリン特集には、よくあるような日本のミュージシャンが出てきて思い出混じりに語ったり、あるいは対談したりというような記事がないのもよい。そういう話は、たいてい中身が薄いからだ。

今回の特集で唯一残念なのは、言うまでもなく、今回のリイシューの肝心のコンパニオン(ボーナス)・ディスクの内容が、ほんの一部しか紹介されていないことだ。
山崎智之によるリマスター音源試聴イヴェントのリポートで、当日聴くことのできた8曲についてしか紹介されていない。編集後記によると、これ以外の音源については、特集制作段階には確認できなかったとのこと。それでも、速報性を重視したというのだ。まあしかたない、今後のレポートを期待したよう。


■69年のツェッペリンが聴きたくて

この特集で、ファースト・アルバムのコンパニオン・ディスクは、1969年のライヴ音源ということがわかった。そうきたか。レア・トラック集なら、買わないつもりだったけれど、69年のライヴということであれば、話は違ってくる。これは聴きたい。

ツッペリンが衝撃のデヴュー・アルバムを発売した年である1969年のライヴには、独特の魅力がある。荒削りでワイルドで爆発的な演奏なのだ。
これまで69年の演奏は、オフィシャルには、『BBCライヴ(BBC SESSIONS)』と、『レッド・ツェッペリンDVD』くらいでしか聴くことができなかった。
BBCライヴ(BBC SESSIONS)』は、ディスク1の14曲が69年のもの。『レッド・ツェッペリンDVD』には、ディスク1のエクストラ・トラックとして、デンマークと、フランスと、イギリスのテレビ番組での演奏が計7曲収録されていた。個人的に69年もののブートレグも数枚持っているが、どれも演奏は素晴らしい。

今回のファースト・アルバムのコンパニオン・ディスクに収録されているのは、691010日のパリ・オランピア劇場でのライヴが8曲。フランスのラジオ局によって録音された音源とのことなので音質もある程度期待できると思われる。
となればやっぱり聴きたい。

というわけで、ファーストのデラックス・エディションは買うことにした。しかし、これを買うなら、あとの2枚も買わないわけにはいかないだろう。値段も2800円。2枚組にしては、高いわけでもない。
というわけで3枚そろって発注となった次第(発注するときにわかったけど、税金入れたら1組3000円越えちゃいました(泣))。

あとは届くのを待つばかり。わくわくするなあ。
しかし、このあと第2弾、第3弾が続くわけで、楽しみだけど、金もかかりそう。



2014年5月12日月曜日

エルトン・ジョンのアルバムベスト5


<エルトン・ジョンのアルバム極私的ベスト5>

エルトンの最高傑作との定評のある『黄昏のレンガ路』ですが、私のランキングでは第1位ではありません。

第1位 『僕の歌は君の歌(Elton John)』(1970)
第2位 『マッドマン (Madman Across the Water)』 (1971)
第3位 『ホンキー・シャトー (Honky Château)』 (1972)
第4位 『エンプティ・スカイ (Empty Sky)』(1969年)
第5位 『黄昏のレンガ路 (Goodbye Yellow Brick Road)』 (1973)


<エルトン・ジョンの名曲ベスト5>

ついでに私の選ぶ<エルトン・ジョン・ベスト・ソング5>は、こんな感じ。

第1位 「僕の歌は君の歌(Your Song)」 (アルバム『僕の歌は君の歌』に収録)
第2位 「人生の壁Border Song)」 (アルバム『僕の歌は君の歌』に収録)
第3位 「イエス・イッツ・ミー(It's Me That You Need)」 (シングル、 アルバム『エンプティ・スカイ』にボーナス収録)
第4位 「フレンズ(Friends)」 (『フレンズ〜オリジナル・サウンドトラック』に収録)
第5位 「遅れないでいらっしゃい(Come Down in Time)」 (アルバム『エルトン・ジョン3』に収録)
次 点 「マッドマン (Madman Across The Water)オリジナル・ヴァージョン」 (アルバム『エルトン・ジョン3』にボーナス収録)

70年代の初めに、上記1位から4位までの曲を収めた『エルトン・ジョン・ベスト4』というコンパクト盤(33回転のシングル・サイズ盤)が出た。私はこれを買って愛聴したものだ。ネットを見ていたら、他にもそういう人がいたのだった(ブログ「A Day In The Life~懐かしき1曲」参照)。


■アルバムごとのメモ

『エンプティ・スカイ (Empty Sky)』(1969年)

エルトン・ジョンの記念すべきデヴュー・アルバムだが、今ひとつパッとしないアルバムではある。いろんなレヴューをみると、みんなこのアルバムを、エルトンの作品系列の中でどう扱ってよいのか戸惑っているようなフシがある。

私にもこのアルバムは、最初、全然ピンとこなかった。何を狙っているのかがよくわからない。しかし、ウィキペディアの解説中に、「プログレッシヴ・ロックの影響が色濃い」という記述を見つけて、何となくふに落ちた。
このアルバムの英国的な陰影と、チェンバロやフルートによるクラシカルなサウンドは、一種のプログレッシヴ・ロックと思って聴くとしっくり来る。冒頭のタイトル曲「うつろな空(Empty Sky)」とか、ラストの「ガリヴァーの追想 (Gulliver/Hay-Chewed/Reprise)」なんかは、もろにプログレ風だしね。
エルトンが、キング・クリムゾンやジェントル・ジャイアントのヴォーカリストのオーディションを受けたこととか、もともとエルトンという名前そのものもエルトン・ディーン(のちにソフト・マシーンに参加)からとった、なんていうプログレがらみのエピソードも、符合してくるのだった。

次作『僕の歌は君の歌』のオーケストラをバックにした格調の高い英国風とは違うが、このアルバムのややアクの強い英国臭も悪くない。もともとプログレ好きなもんで。

『僕の歌は君の歌(Elton John)』(1970)

 全編にクラシカルなストリングスが入っている格調高い一作。最初聴いたときは、ロック度が薄くて物足りなかったが、今ではこれがエルトンの最高傑作だと思っている。
何より私がこのアルバムにひかれるのは、いかにも英国的なシリアスで翳りのあるサウンドと、そして内省的で孤独感の漂うトーンだ。
何といっても「僕の歌は君の歌 (Your Song)」と「人生の壁 Border Song)」は名曲。

なお末尾にボーナス収録されたシングル曲「ロックン・ロール・マドンナ (Rock and Roll Madonna)」は、ローリング・ストーンズ
の「ホンキー・トンク・ウィメン」へのオマージュないしはパロディ(たぶん)。アルバム本編の雰囲気とは全然違う曲なのだが、なかなか悪くない。

『エルトン・ジョン3 Tumbleweed Connection)』 (1970)

前作のブリティッシュ・サウンドから一転、こちらはアメリカ西部への憧れをテーマにした、エルトン流カントリー・ロック・アルバムだ。
前作とのインターバルは、わずか半年。してみると、この2作は、ひとつの作品の裏表とも見える。つまり、前作がブリティッシュ・サイドで、こちらがアメリカン・サイド。
ただしとにかく地味な内容。表現意図が何となく空回りしているような感じだ。「遅れないでいらっしゃい (Come Down in Time)」とか、「故郷は心の慰め (Country Comfort)」のようなよい曲もあるのだが、全体としては、どうにも印象の薄いアルバム。 

『マッドマン (Madman Across the Water)』 (1971)

ふたたび重厚なストリングスをメインにすえて、前々作のようなシリアスで格調高い雰囲気に戻った作品。わたし的には、『僕の歌は君の歌』に次いで好きなアルバムだ。ただし曲作りにややこなれた感じがあって、『僕の歌は君の歌』で聴けるような瑞々しさはその分薄れている。

それから「可愛いダンサー (Tiny Dancer)」とか、タイトル曲「マッドマン (Madman Across The Water)」など、よい曲もあるのだが、その他の曲の魅力がちょっと弱い感じもする。でもとにかく「マッドマン」は名曲だ。

なお「マッドマン」のオリジナル・ヴァージョンというのが、『エルトン・ジョン3』にボーナス収録されている。オーケストラなしでバンド・サウンドをバックにしたヴァージョンだ。大きくフィーチャーされているミック・ロンソンのギターが素晴らしく、これもなかなか捨てがたい魅力的な演奏だ。

『ホンキー・シャトー (Honky Château)』 (1972)

それまでの重厚な英国調からサウンドを大転換、エルトンが世界戦略を開始したアルバム、と言われている。この試みは大成功、初の全米チャート1位を獲得し、以後、彼の快進撃が始まることになる。
しかし一方、英国風味が薄まっていくにつれ、私のエルトンへの興味はなくなっていったのだった。

たしかにひげ面のエルトンのジャケットや、ストリングスの代わりにホーンを導入したことなど、大きくイメージ・チェンジをしている。全体の曲調も、ライトでポップ。まさに売れ筋の音だ。
しかし、今あらためて聴くと、これはこれでなかなか悪くない。何より、全体に漂うそこはかとない哀愁が英国的で好ましい。そういえば見開きジャケットの内側に広がる風景も、荒涼としていてイギリスっぽかった。

ところで、どうでもいいことをいくつか。
ひとつは「スレイヴ」でのエルトンのヴォーカルが、ミック・ジャガーにちょっと似ているということ。もともとこの曲の曲調が、米南部志向期のストーンズに似ている。それに乗って歌うエルトンの、とくに声質と歌い回しに注目。似てるでしょ。
それともうひとつ、シングル・カットされた「ロケット・マン」は、デヴィッド・ボウイの「スペイス・オディティ」にインスパイアされたとしか思えないんだけど、もしかしてこれって常識?
ちなみに調べてみたら、この二つの曲は、プロデューサー(ガス・ダッジョン)が共通だった。そのせいもあるのかかも。

『ピアニストを撃つな! Don't Shoot Me, I'm Only the Piano Player (1973)

ウィキペディアによると、このアルバムのタイトルとジャケットデザインは、フランソワ・トリュフォー監督の1960年の映画『ピアニストを撃て』からインスパイアされたものとのことだ。エルトン自身がそう言っているのだろうか。もしそうなら仕方がないが、ちょっと疑問が残る。
もともとトリュフォーの(原作の)タイトルが、西部劇時代のアメリカの酒場に貼られていたという「ピアニストを撃たないで」という文句をもじったものだからだ。エルトンは、そこから直接引用しているのではないのだろうか。もちろんピアノ・プレイヤーである自分にひっかけているわけだ。

一部の曲でオーケストラが復活している。たとえば「罪人にあわれみを (Have Mercy on the Criminal)」などには、昔のようなシリアスな感じがある。しかし、全体としては、イギリス的哀愁味を残しつつ、前作よりもさらにライト&ポップ化が進んでいる。というわけで、エルトン・ジョンは、私の関心の範疇からどんどん遠いところへと離れていったのだった。

『黄昏のレンガ路 (Goodbye Yellow Brick Road)』 (1973)

私がエルトン・ジョンにすっかり興味がなくなってしまった頃に発売されたのが、このアルバムだった。
当時一応は聴いたけれども、そんなに面白いと思わなかった。ジャケットのセンスも今ひとつだし、2枚組というのも何だか無駄に重過ぎる。またオープニング曲が無意味に大仰で、聴く気が萎えてしまうのだ。
その後、これがエルトンの最高傑作ということになったが、最初の私の印象は、今もあまり変わっていない。

それでも、アルバムの前半はけっこうよい曲が並んでいる。「風の中の火のように (Candle in the Wind)」とか、「ベニーとジェッツ (Bennie and the Jets)」とか、タイトル曲「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード Goodbye Yellow Brick Road)」とか、旧作のリメイク「グレイ・シール (Grey Seal)」なんかは好きな曲だ。
しかし、この後は、だらだらと曲が続いて、どれもこれも同じに聴こえてしまう。やはり、こういうタイプの人の2枚組はダレる(私だけか?)。唯一、「土曜の夜は僕の生きがい (Saturday Night's Alright for Fighting)」は、トンガっていて好きだけど。

そんなこんなで、このアルバム以降のエルトン・ジョンとは、完全に縁が切れてしまった。
だいたいこの後のアルバムのジャケットがひどい。『キャプテン・ファンタスティック (Captain Fantastic and the Brown Dirt Cowboy)』(1975)は、まあ許せる。だけど、『カリブ (Caribou )』(1974)とか、『ロック・オブ・ザ・ウェスティーズ (Rock of the Westies)』 (1975)は、あのジャケでは手に取る気になれないよ。