2012年2月10日金曜日

私は温泉が嫌いだ  偏屈日記その2

みんな温泉が好きだ。温泉に行ってゆっくりしたいなと言えば、みんながそうだねとうなずく。
ブームというにはもうずいぶん長いこと、温泉ブームが続いている。定番の温泉から山間の秘湯まで、毎日毎日ラジオやテレビで温泉の情報が流れない日はない。みんな温泉に行って疲れた心と体を癒したいのだろう。温泉の時代である。

こんな時代の風潮の中で、ものすごく言いにくいけど、じつは私は温泉が嫌いです。
世間の人に知られないように、人にはなるべく言わないようにして生きてきた。しかし、ついうっかりはずみで口にしてしまうこともある。すると、またまた周囲から白い眼で見られ、変人扱いされることになる。

近場の温泉で、泊りがけの宴会があったりする。そういう場合、私はいつも温泉には入らないまま帰ることになる。お酒を飲んでお風呂に入ると体に良くないから(これは本当らしい)などと言ってごまかしながら。

でも本当は、もともと風呂が嫌いなのだ。嫌いというより、まず、とにかく面倒。服を脱いで、体を濡らし、その体を拭いて、また服を着る。これが面倒。……あきれてますね。
そして、あの湯ぶねにつかっている時間が、何とも退屈というか、手持ち無沙汰というか、何をしたらいいのかわからないというか、とにかく時間をもてあましてしまう。皆さんそういうときどうしているのでしょう。そんなこと感じないんでしょうね、風呂好きの方は。……そうとうあきれてますね。
ただ唯一例外があって、家族で旅行したとき、風呂上りのあのビールが飲みたいばっかりに、自らすすんで風呂に入る、ということはまあある。
というようなわけで、私は風呂が嫌いなのだ。

それでも不潔になるから仕方なく日常的には風呂に入っている。私の場合は、朝風呂。仕事をしている頃から一年を通じていつも朝風呂だ。この頃のような厳寒の時期も、もちろん朝に入っている。その分早く起きているが、一日を始める段取りの一部になっている。
ちなみに北大路魯山人も朝風呂派で、その後「湯から出れば間髪を入れずビールの小壜を数本痛飲する」のだそうだ(「小生のあけくれ」1959年)。なんとうらやましいこと。
当然、朝風呂については、家族からエネルギーの無駄だからやめろと言われている。たしかにその通りです、スミマセン。
しかし、夜、さああとは寝るだけ、というくつろいだ時間に、この面倒臭いことをするのはいやなのだ。すぐ布団に入って安らかに眠ってしまいたい。

というわけで風呂は、入らなくてよいなら入らないで済ませたい。だから風呂に入るために、入ることを目的として、どこかに出かけていくなんてことは、私にはとても考えられないのでした。
これは私だけなのでしょうか。そうかもしれない。でも、今、一人暮らしの若い人には、バスタブに湯をはってつかることをせず、シャワーだけで入浴を済ます人が増えているという。こういう人たちには、私の気持ちがわかってもらえるのではないかな。

ともかく温泉が大好きな皆さん、世の中の人全員が、あなたと同じように温泉が好きなわけではないのです。世の中には、あなたと違う感じ方の人もいるのです。そんな人もどうか許容してあげてくださいね。

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