2013年8月21日水曜日

簡単(?)本格(!) スープカレー・レシピ


もともとカレー好きだった私は、スープカレーも大好き。
札幌発のスープカレーのブームが全国に広がり始めたのは今から10年ほど前のこと。あの頃は、札幌からお取り寄せしたり、東京に食べに行ったりしたものだった。それを何とか自分で手軽に作って食べられないものかと思って考えたのが、このレシピ。
最後におまけとしてマイ・スープカレー史を紹介。


<簡単本格 スープカレーのレシピ>


〔概 要〕

*旨みたっぷりで自分好みにスパイシー。スプーン一つで具材の肉や野菜がホロホロとほぐれる本格派のスープカレーだ。

*ただしあくまで味本位で体裁は二の次のレシピ。
たとえばお店のスープカレーは、さらさらした食感にするために、タマネギをミキサーにかけたり、それを漉したりと、いろいろ手間をかけている。しかし、そこまでのことはしない。
また澄んだスープにするためターメリックを使わないお店も多い。この点もあんまり気にせずに、ターメリックも当然入っている簡便なカレーパウダーを使っている。

*お店ではスープと具材は基本的に別々に調理しているが、ここではスープそのもので肉と野菜を煮込んでいるので手軽だ。

*ただし鍋を火にかけている時間は1時間30分が目安。これをはたして「手軽」と言ってよいかどうかは多少疑問ではある。


〔材 料〕 (3~4人前)

<スープのベースになるもの> (最初に入れる)
・水  1500cc
・タマネギ  大1個(約400グラム)
・ニンニク、ショウガ  各1片
・酒  100cc
・ガラスープ(顆粒)  大さじ1
・かつおだし(粉末)  小さじ1 
・ケチャップ  少々
・ソース  少々
・ローレル 1枚(もしあれば)

<具材>
・鶏肉(モモ肉、ムネ肉、手羽元など何でもよい)
1人前 150~200グラム×人数分
*モモ肉とムネ肉の場合は、1人前がひとかたまりになるように切る。小さく切らない。
手羽元の場合は1人前3~4本。
・ニンジン 1人前 中1本×人数分
・ジャガイモ 1人前 中1個×人数分
*ニンジンとジャガイモは皮をむいただけの丸のままの形で使う。小さく切らない。

<スパイスなど> (仕上げに入れる)
・ガラスープ 大さじ1/2~1
・カレーパウダー  大さじ1~2
*その他もしあれば、ガラムマサラ、クミン、コリアンダー、クローブなどをお好みで加える


〔手 順〕

*鍋を火にかけて約1時間30分ほどかかるので、あらかじめそのつもりで

1 水1500ccを鍋に入れ火にかける(出来上がりは1000ccくらいになる)。煮立ったら後はずっと中火から弱火。

2 以下のものを鍋に投入する。
① タマネギ(400グラム)の薄切り
② ニンニクとショウガ各一片をすりおろしたもの
③ 酒100cc
④ ガラスープ(顆粒) 大さじ1
⑤ かつおだし(粉末)  小さじ1
⑥ ケチャップとソース各少々
⑦ ローレル 1枚(もしあれば)

3 鍋を火にかけてから30分ほど経ったら(つまり完成予定の1時間前)鶏肉を入れる。
*投入する前に、フライパンで焦げ目をつけておけばベスト。

4 鶏肉投入後20分経ったら(つまり完成予定の40分前)にニンジンを投入。

5 さらにニンジン投入後10分経ったら(つまり完成予定の30分前)にジャガイモを投入。

6 完成予定時間(鍋を火にかけて約1時間30分後)になったら具材に火が通っていることを確認する(通っていなければさらに煮る)。
火が通っていたら、次のように味を調えスパイスを加える。
なお具材が崩れやすいので、鍋を混ぜるときは注意しながらやさしく混ぜることが大事。

① 塩気は塩の代わりに、ガラスープを加えて調整する。
最初に(上の手順2で)大さじ1を入れてあるが、さらにここで大さじ1/2~1くらいを加えるといい塩梅になると思う。お好みで調節を。
② 辛さは カレーパウダーで調節する。大さじ1~2くらいが普通の辛さだと思う。これもお好みで。
③ あとは、もしあればガラムマサラ、クミン、コリアンダー、クロ-ブなどのスパイスを入れて仕上げる。

7 これで完成。スパイス投入後はなるべく煮込まない。
スープカレーを器に盛り、別皿にご飯をよそって食べる。
*なお、スープカレーのトッピングとして、ゆで卵、茹でたオクラ、素揚げしたナスやピーマンやカボチャを加えても良い。かなり本格的になる。


〔いくつかのポイント〕

* 具材とスープの割り合いについて
スープカレー1食分の汁の量は、200~250ccくらいだろう。
だからこのレシピでは具材に対しスープの汁の量が多くできる。しかし、汁を減らすと、具材が柔らかく煮えた後で、鍋の中をかき混ぜるときに具材を崩してしまったり傷をつけたりしてしまう。ある程度汁分が多い方が混ぜやすいのだ。
もちろんそれでも調理中は必要以上に鍋の中はかき混ぜない方が良い。
具材と一緒に盛り付けた後、鍋に残った具なしの汁は、お代わりとして食べてしまうか、とっておいて後でカレーリゾットとして食べればいいと思う。これもおいしい。

* 塩気と辛さの調節について
手順のところにも書いたが、仕上げの段階での塩気の調整はガラ・スープで、また辛さの調整はカレー・パウダーですると美味しくできる。
長時間煮込んでいるので、火の強さや鍋の形状により残っている汁の量はかなりばらつきがあるはず。だからそれぞれ味を見ながら調節する必要があるのだ。
なお、さらに激辛にしたい場合は、唐辛子、コショウを加えても良い。


<おまけ:マイ・スープカレー史>

札幌のスープカレーがブームになって全国的に知られるようになったのは、今から10年ほど前のことだった。
2002年に初めてスープカレーの概要を記した樺沢紫苑の『北海道スープカレー読本』が出た。そして翌03年には横濱カレー・ミュージアムに、札幌のスープカレー店マジック・スパイスが出店して話題になった。
私がスープカレーの存在を知ったのも、この頃のこと。あるラジオの番組で、今こういうものが話題になっていると紹介されていたのだ。しかし、映像なしで言葉だけの説明では、全然ピンとこない。カレー味のスープとどこがどう違うのか。しかし、とにかく興味は激しくそそられた。

いったいそれはどんなものなのか。スープカレーに対する興味は大きく膨らんだ。しかし、その時点での情報はかなり限られていた。それでも調べてみたら本場札幌のスープカレー専門店のいくつかは、自分の店のスープカレーをレトルト化して通販で販売していることを知った。札幌におけるスープカレー事情は、すでにそういう段階まで進んでいたことになる。
何はともあれさっそく「お取り寄せ」だ。5、6店からふたつずつ取り寄せた。けっこういい値段だった。一袋5~700円くらいしたと思う。
店によって味もタイプもいろいろだった。共通しているのは、チキンや野菜がごろっと大きいまま入っていること。そして、汁にとろみがなくて確かにスープ状だったことだ。小麦粉によるとろみがないことはもちろんだが、インド系のカレーのような野菜を煮詰めることによって生じるとろみもなかった。しかし、スパイシーで濃厚な味わいがある。
なるほど美味しいとは思ったが、普通のカレーがそうであるようにレトルト化によって何か肝心なところがよく見えない感じもした。

そこで、やはり東京に出店した店で実食してみることにした。
まず横濱カレー・ミュージアムに行ってマジック・スパイスのスープカレーを食べてみた。
これははっきり言ってたいしたものではなかった。作り方が本店によってきちんと管理されていないからなのだろう、たぶん。こんなやり方では店の名前に傷がつくはずだ。その後、カレー・ミュージアムそのものが無くなってしまったのもうなずける話だ。
しかしこれにめげずに東京のスープカレー店をいくつかめぐってみた。新橋のガネー舎、原宿のシャンティ、下北沢のマジック・スパイスなどだ。
中でもガネー舎の味がいちばん気に入った。スープカレーを創始したと言われている札幌のアジャンタ系の店とのこと。スープカレーもアジャンタの薬膳カリィを再現している。スパイシーであることはもちろんだが、味に深い奥行きがある。このお店の味のとりこになり、何度も通ったものだ。

しかし、やはり東京は遠い。そういつも食べに行けるものでもない。そこで、例によって自作するに到ったわけだ。もちろんガネー舎のような深い味わいは出せるはずもない。ある程度妥協して、手軽さを第一に考えた。その結果たどり着いたレシピが上に紹介したものである。

スープ・カレーは、とろみの少ないさらさらしたスパイシーなスープに具材が入ったものである。ターメリックが入っていない場合が多く、そのためカレー独特のあの黄色い色をしていないものが大半だ。
メインの具材は鶏肉(チキン・レッグ)が一般的で、これにジャガイモ、ニンジン、ピーマン、オクラ、カボチャといった野菜が素揚げして添えられる。具材の肉や野菜が、かなり大ぶりでごろんと入っているのも大きな特徴である。このスープと一緒に別皿に盛られたご飯を食べるのである。

スープ・カレーのルーツは、漢方の薬膳スープ、スリランカとインドネシアとタイのカレー、さらには各種のインド料理と言われている。ようするに東南アジア系のエスニック料理をルーツにしているわけだ。しかし、日本での発展の過程で、トマト・ベースのものやフォン・ド・ボーを使ったものなど、イタリアンやフレンチからの影響を受けたものも現れ、多様な展開を見せている。もう世界のどこにもない日本独自の料理になったと言えるだろう。

さて全国的なスープ・カレーのブームも一段落したようだ。
しかしブームが去って忘れ去られた、ということではない。北海道の御当地メニューの定番としてスープ・カレーは広く全国に知られるようになった。またどこでも身近なスーパーのカレーの棚には、家庭用のスープ・カレーの素が置かれるようになっている。
それからカレーのチェーン店CoCo壱番屋でも、毎年、冬になるとスープ・カレーがメニューに加わるようになった。また北海道料理を謳う水戸の居酒屋のメニューにも、スープカレーが載っている。
でも、やっぱり自分で作ったスープカレーの方が美味しいけどね。


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