2014年5月15日木曜日

レッド・ツェッペリンのリイシュー・プロジェクト開始


ついにレッド・ツッペリンのリイシュー・プロジェクトが始まってしまった。何で「始まってしまった」という言い方になるかというと、これでまたお金がかかりそうだからだ。

第一弾として、6月4日に初期3作品のリイシュー盤が発売されるとのことだ。
オリジナル・アルバムのそれぞれについて、次の3種のエディションが用意されている。
・スタンダード・エディション(リマスター盤のみの1CD)2000 円
・デラックス・エディション(コンパニオン・ディスク(つまりボーナス・ディスク)付きの2CD)2800
・スーパー・デラックス・エディション(上記2CDに、同内容の2LPやその他オマケがテンコ盛り)20000円(!

スーパー・デラックス・エディションは高いので問題外だけれど、気になるのは2CDのデラックス・エディションだ。
しかし、私は隠居生活に入るとき、リマスター盤とレア・トラックスものには、今後いっさい手を出すまい、と心に誓っている。だから、たとえば最近では、クリムゾンの『ザ・ロード・トゥ・レッド』も、またディランの『アナザー・セルフ・ポートレイト』も、我慢したのだった。今回のツェッペリンもやっぱり我慢だな、と思っていたのだった。しかし……、『レコード・コレクターズ』誌を見ていたら…。


■『レコード・コレクターズ』誌のレッド・ツェッペリン特集

今号の『レコード・コレクターズ』誌(20146月号)の特集は、レッド・ツェッペリン。もちろん今回のリイシューにちなんでのものだ。だから、内容も初期のツェッペリンと、ファーストからサードまでのアルバム3作について扱っている。

特集としてはかなり力が入っている内容だ。
まずジミー・ペイジが来日して行ったリマスター音源の試聴会レポートから始まって、初期ツエッペリン・ヒストリー、ジミー・ペイジ論、初期ツェッペリンの音楽性の分析、メンバーのツェッペリン結成以前の活動、そしてアルバム3枚分の全曲解説といった記事が並んでいる。いずれも充実した内容で読み応えがある。

とくに小野島大によるサード・アルバムまでのツェペリン・ヒストリーがよい。この筆者の文章には、独特のビート感があって、ぐいぐい読ませる。
松井功の記事「玉石混淆の荒野で曲に永遠の輝きを与えた“ロック折衷術”」は、ツェッペリンの音楽性についての分析。元ネタとの関係に触れつつ、このグループの独自な音楽性を解き明かそうとしている。独特のネチっこい文体で、やや読みにくかったりもするが、なかなかの労作。
ペイジが、ギタリストとしてよりも、むしろプロデューサー/サウンド・メイカーとしての技量において優れていると指摘して最後を締めているが、これには同感だ。

「全曲解説」は、ファースト・アルバムが小出斉、セカンドが行川和彦、サードが小山哲人の分担制。だが、いずれも、具体的な指摘を積み重ねた解説で読ませる。各楽器の演奏について具体的に触れ、歌詞やアイデアの引用元となったブルース曲なども指摘、さらにはペイジのギターのチューニングなどについてもきちんと書いてある。これまで私が知らなかった事実も満載で勉強になります。
またそうした具体性に加え、あちこちに興味深い指摘がある。
たとえばその一例。小山哲人は、サード・アルバムの「ザッツ・ザ・ウェイ」の解説中で次のように指摘する。
サード・アルバムにおいて、単にフォーク的と言われている曲も、じつはどれも複合的で一筋縄ではいかない曲ばかりである。このアルバムに対するファンの戸惑いは、「非ハード・ロック的な内容のみならず、アクースティック路線のとらえどころのなさに起因しているのかもしれない」という。なるほど、そのとおりだと思う。
いずれにしても、世間には、へんに感覚的だったり、抽象的だったり、あるいは下世話ネタに終始しているような曲解説が、まかり通っている。そんな中で、『レコ・コレ』誌のこの「全曲解説」は秀逸だと思う。

またこのツェッペリン特集には、よくあるような日本のミュージシャンが出てきて思い出混じりに語ったり、あるいは対談したりというような記事がないのもよい。そういう話は、たいてい中身が薄いからだ。

今回の特集で唯一残念なのは、言うまでもなく、今回のリイシューの肝心のコンパニオン(ボーナス)・ディスクの内容が、ほんの一部しか紹介されていないことだ。
山崎智之によるリマスター音源試聴イヴェントのリポートで、当日聴くことのできた8曲についてしか紹介されていない。編集後記によると、これ以外の音源については、特集制作段階には確認できなかったとのこと。それでも、速報性を重視したというのだ。まあしかたない、今後のレポートを期待したよう。


■69年のツェッペリンが聴きたくて

この特集で、ファースト・アルバムのコンパニオン・ディスクは、1969年のライヴ音源ということがわかった。そうきたか。レア・トラック集なら、買わないつもりだったけれど、69年のライヴということであれば、話は違ってくる。これは聴きたい。

ツッペリンが衝撃のデヴュー・アルバムを発売した年である1969年のライヴには、独特の魅力がある。荒削りでワイルドで爆発的な演奏なのだ。
これまで69年の演奏は、オフィシャルには、『BBCライヴ(BBC SESSIONS)』と、『レッド・ツェッペリンDVD』くらいでしか聴くことができなかった。
BBCライヴ(BBC SESSIONS)』は、ディスク1の14曲が69年のもの。『レッド・ツェッペリンDVD』には、ディスク1のエクストラ・トラックとして、デンマークと、フランスと、イギリスのテレビ番組での演奏が計7曲収録されていた。個人的に69年もののブートレグも数枚持っているが、どれも演奏は素晴らしい。

今回のファースト・アルバムのコンパニオン・ディスクに収録されているのは、691010日のパリ・オランピア劇場でのライヴが8曲。フランスのラジオ局によって録音された音源とのことなので音質もある程度期待できると思われる。
となればやっぱり聴きたい。

というわけで、ファーストのデラックス・エディションは買うことにした。しかし、これを買うなら、あとの2枚も買わないわけにはいかないだろう。値段も2800円。2枚組にしては、高いわけでもない。
というわけで3枚そろって発注となった次第(発注するときにわかったけど、税金入れたら1組3000円越えちゃいました(泣))。

あとは届くのを待つばかり。わくわくするなあ。
しかし、このあと第2弾、第3弾が続くわけで、楽しみだけど、金もかかりそう。



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