2012年12月4日火曜日

実食「一汁無菜」 玉子でご飯(後編)

前回紹介した二つのきっかけがあって、今回は二つの方法で玉子かけご飯を食べてみることにした。魯山人風とカルボナーラ風だ。

ご飯はこれまでどおり1.5合。このシリーズでは、いつもならはこれをお茶碗四杯に分けて食べている。しかし、ご飯一杯に玉子一個で、計四個というのではいくら何でも多過ぎる。三個でもちょっと多いような気がする。そこで、玉子は二個ということにした。
したがってご飯は二等分にする。そうすると一回分のご飯は約240グラム。
ちなみに吉野家の牛丼並盛のご飯の量は260グラムとか。それよりはちょっと少ないが、これを玉子一個で食べるのはちょっとさびしいかもしれない。

レンジで加熱するカルボナーラ風玉子かけご飯については、じつは事前に何回か実験を繰り返した。その結果ベストと思われる作り方が次のようなものだ。

〔カルボナーラ風玉子かけご飯のレシピ〕

① 玉子(1個)は黄身と白身に分ける。
② 白身をボールに入れて、箸でよく溶いて出来るだけサラサラにしておく。
③ どんぶりに盛り付けたご飯(240グラム)のまん中にくぼみを作り、そこへ白身をそっと流し入れる。
その白身をくぼみの周りに箸で広げながら表面に近い部分のご飯と軽く混ぜてなじませる。
④ ここへしょう油(小さじ1)をかける。
⑤ この後、どんぶりごと電子レンジに入れて加熱する。
500ワットで30秒ほど(短時間なのでラップは不要)。
⑥ 加熱後、その上に黄身を落とす。
これで完成。

なお、しょう油の量はいくつかのレシピで、ご飯一杯、卵一個につき小さじ1となっていたのでこれに従うことにした。しかし、今回の場合ご飯の量が多いので、このしょう油の量ではもの足りないかもしれない。
塩分的にはしょう油小さじ1は塩分0.9グラム。これを二杯食べるわけだから塩分は合計1.8グラム。みそ汁と合わせて一食で2.8グラム。一日の塩分の基準値は10グラム以下(男性の場合)だから、十分一食分の許容範囲内ということになる。

では、今回のメニューを紹介。
お米は富山産のコシヒカリ。近所のスーパーで売っていたもの。一番安い茨城産のコシヒカリが売り切れだったので、その次に安かったこれを買った。
味噌汁は、前回同様味噌が「無添加・円熟こうじみそ」という名前のもの。長野県下諏訪町のひかり味噌製。いわゆる信州味噌で米味噌。近所のスーパーで安売りしていたものだが、けっこう美味しい。
今日の味噌汁の具材は長ネギと油揚げ。
玉子は やっぱり安売りしていた10個160円くらいのもの。
しょう油はヤマサの「有機丸大豆の吟選しょうゆ」。これもスーパーで安売り。全部安売りばかりだったな。

それではいよいよ実食だ。
まずは魯山人風玉子かけご飯から。
今日はちょっと大き目の深型の器をどんぶり代わりにする。ちょうどいいどんぶりは、去年の地震で割れてしまってないのだ。 
この器にご飯を盛りつける。分量の感じが分らないのでキッチン・スケールでご飯をちゃんと計った。1.5合のちょうど半分は240グラム。
ご飯の表面を平らにならし、さらにお箸で中央に玉子を入れるくぼみを作っておく。

お湯を沸かして沸騰させておいた鍋の火を止めて、お玉にのせた玉子をそっとお湯の中に入れる。玉子はあらかじめ室温に戻しておいたので、入れるのは50秒ほど(冷蔵庫から出したばかりの場合は1分間とのこと)。
引き上げた玉子を、ご飯のくぼみに割り入れた。殻に接していたあたりの白身は熱で少し白っぽくなっている。

箸で玉子をそっと崩し、くぼみの周囲に少しだけ広げる。あんまりご飯と混ぜたくないのだ。
しょう油を玉子の真ん中に注ぐ。ご飯にかかるとそのまま下にしみていってしまいそうだからだ。
上から見るとどんぶりの周囲に白いご飯がそのままあり、玉子があるのは真ん中あたりだけ。このままなるべく混ぜないようにして食べていくことにする。

周囲の白いご飯からまん中にむけて箸を入れる。白いご飯と玉子混じりのご飯を一緒にすくって口に運ぶ。
ふんわりした感じ。黄身がややとろっとしている。白身は混ぜていないのに、箸にのせたご飯から逃げていかない。なるほどなかなかおいしい。
玉子ご飯を白いご飯にのせるようにして食べ続ける。あえて混ぜないので、そのつど味が微妙に違って飽きない。かなり濃厚なねっとり感が口の中に広がる。ときどきすする味噌汁が、ちょうどいい口直しになる。
しかし、どんぶり飯というのは、やっぱりいつの間にか食べるペースが早くなってしまうな。あっという間に残り少なくなる。玉子が先になくなるのがちょっと心配だったが、底の方にしょう油が少したまっていて、この塩気できれいに食べきってしまった。

続いて二杯目。今度はカルボナーラ風玉子かけご飯だ。炊飯器から残りのご飯を全部器によそう。
ご飯の表面を平らにならし、まん中にくぼみを作るのは前と同じだ。
そこへあらかじめ黄身と分けてボールで溶いておいた白身を流し込む。白身はにょろにょろがないように、かなりしつこく切るように混ぜておいた。そうしておかないと、この後ご飯とよくなじまない。
いったんくぼみに収まった白身を、箸で周囲に広げながら表面のご飯と混ぜる。こうしないと、加熱したとき白身がまとまったまま固まってしまうことがある。かといって、ご飯全体と混ぜ合わせてしまうと、ご飯がひとつに固まってしまう心配がある。

それから広げた白身の部分に、しょう油を小さくまわしかける。ご飯にはかけないようにする。こうすると、加熱したときしょう油の香ばしい香りがたつのだ。
先にしょう油を白身と混ぜてしまうとこの香りがしないし、加熱後にかけると香りのたち方が弱い。
なお先に紹介した「たまごソムリエ」の小林さんは、この香りを楽しむためには、先に熱いご飯に直接しょう油をかけることを推奨しているが、私の場合そうするとご飯がべちゃべちゃになるのでいやなのだ。

そして、器ごと電子レンジで30秒加熱する。取り出すとしょう油の香りが香ばしく漂ってくる。白身は部分的にやや白くなりかけているが、全体としてはとろっとした感じになっている。
 ここへ、分けておいた黄身を落とす。そしてそれを箸でそっと割って少し広げる。こうするとご飯も加熱して熱くなっているので、黄身がやや半熟状態になっていくのだ。

これも周囲の白いご飯に、中央の玉子と混じったご飯を乗せるようにして箸ですくいながら口に運ぶ。あつあつで美味しい。黄身がとろっとして、かなり濃厚なコクがある。ちょっと温めるだけで、こんなに豊かで濃厚な風味になるのだなあと感心する。
玉子混じりのご飯をおかずに、白いご飯を食べている感じ。これでしょう油が高級品ならもっともっと美味しいだろうけど…。
どんぶり飯はあいかわらずするすると進んでいく。器の底の方にたまりかけていたしょう油と黄身のしみたご飯を、かき込むようにしてあっという間に二杯目も完食してしまった。美味しかった。
私としては、加熱度が高くてその分とろみの強い二杯目のカルボナーラ風の方がより美味しいと感じた。
とにかく玉子の濃厚でねっとりしたコクをとことん堪能した感じだ。口の中がけっこうべっとりする。でもとにかく満足。

0 件のコメント:

コメントを投稿