2012年12月17日月曜日

実食「一汁無菜」 「ごはんですよ!」でご飯

今回は「ごはんですよ!」でご飯を食べる。
「ごはんですよ!」は、あらためて言うまでもないだろうけど、桃屋の海苔の佃煮の商品名。
前々回の玉子、前回の納豆に比べると、値段はそれらよりもそれなりに高いのに、微妙に地味なイメージが漂う。
玉子と納豆については、いろいろ自分なりに手間をかけたけれども、ここは初心に帰って、そのもの本来の味をじっくりと味わってみることにした。

ところで海苔の佃煮というのは、今のこの時代にそんなに需要があるものなのだろうか。生活パターンの変化や食事の洋風化などで、ご飯の消費量がどんどん減る一方の昨今。さらに加えて、誰も彼もがダイエットを気にしていて、なるべくご飯は食べないように食べないようにしている。
こんな時代に、ご飯をたくさん食べるための(違う?)海苔の佃煮や、ふりかけがそんなに必要とされているのだろうか。
桃屋は海苔の佃煮を、いろいろな料理の素材として使うレシピを紹介している。パンに塗るなんて食べ方まで勧めている。需要拡大をはかるというより、こんな時代を何とか生き抜こうとする涙ぐましい努力と見えてしまう。

まあこういう時代の事情は置いておくとして、私が海苔の佃煮というものについてどう感じているかといえば…、とくに好きでもないし、かといって嫌いというわけでもない、というところだ。
海苔の佃煮には、おかずとしての期待感がわかない。おかずとしての「華(はな)」がないと言ってもよいだろう。たぶん大半の人は、こんな感じではないのだろうか。

でも何しろ原料は海苔(けっこう高価)だし、それを旨さの王道である甘辛(あまから)味で煮ているわけだから、じっくり味わえば美味しいのはまちがいない。
というわけでスーパーで「ごはんですよ!」を買って来た。海苔の佃煮なら何でもよかったのだが、「ごはんですよでご飯」というタイトルにしたら語呂がいいかな、とつい思ってしまったもので…。
スーパーの棚にはそれなりの幅をとって海苔の佃煮コーナーが設けてあった。ちょっと意外。けっこう買う人がいるらしい。

「ごはんですよ!」は桃屋の海苔の佃煮「江戸むらさき」シリーズの一つだそうで、現在のこのシリーズの基幹商品とのこと。
ただシリーズの他の商品と、どこがどう違うのかは、桃屋のホーム・ページを見てもあまりよくわからない。そういう違いを売りにはしていないのだろうか。
ところでそのホーム・ページによると、この海苔の佃煮は、原料の海苔や製法にそれなりのこだわりがあるとのこと。
桃屋の製品には、ときどきネーミングに独特のオヤジ的なセンスを感じるものがある。この「ごはんですよ!」もそうだし、例の大ヒット商品「辛そうで辛くない少し辛いラー油」なんかもそう。でも今回ホーム・ページを見ていて、あらためてちゃんとしたまじめな会社(?)なんだなという印象を受けた。

では、今回のメニューを紹介。
お米は茨城産の「あきたこまち」。近所のスーパーでこれが一番安かった。
味噌汁の味噌は、「糀(こうじ)屋のみそ」というもの。熊本県水俣市の緒方こうじ屋製。ときどき通販で買っているお味噌だ。やや高いし、送料もかかるけれど、とにかくすごく美味しい。
今日の味噌汁の具材は白菜と油揚げ。
あとは桃屋の「ごはんですよ!」。中びんで145グラム入り。

それでは、実食。
いつものようにご飯を1.5合炊いて、これをお茶碗に四杯で食べることにする。しかし、これだけのご飯を食べるのに、このいかにも地味なおかずだけで飽きないか、ちょっと心配にはなる。まあこの試みは、一つの味をとことん味わいつくすというのが本来の目的なのだが。

ご飯と味噌汁をそれぞれの椀によそう。
テーブルの上には、ご飯茶碗と、汁椀と「ごはんですよ!」のびんのみ。質素を絵に描いたような風景だ。しかし、シンプル・メニューは、逆に私の食欲をそそるのだ。だんだん私の気持はアガッてくる。

まず味噌汁をすすってから、ご飯だけ一口、二口食べてみる。この「あきたこまち」はこの間買ってきたばかり。やはり、コシヒカリに比べるとちょっとネバリ気が足りない。銘柄のせいだけでなく、値段が安いせいもあるのだろう。
いよいよ海苔の佃煮を瓶から箸でひとすくいして、お茶碗のご飯の中ほどに乗せる。佃煮は思ったよりもけっこう粘度がある。ご飯の白と海苔のつやつやした濃い黒が、じつにいいコントラスト。
海苔の佃煮をできるだけご飯の上に広げて、その端の方からご飯と一緒にすくって口に運ぶ。
海苔の風味と濃厚な甘辛味が口の中に広がっていく。思ったより美味しいじゃないの。ただけっこうしょっぱい。保存料を使ってないので、塩分がそれなりに強くしてあるのだろう。
しょっぱいので、ご飯の上で佃煮をさらに細かく散らしつつ少しずつご飯に乗せては食べる。噛んでいると、甘辛の味が口の中でご飯の甘さを引き出してくれる。ご飯が美味しい。これは「ご飯のお供」の優等生と言えるだろう。
おかげでどんどんご飯が進んでいく。

二杯目、三杯目とおかわりするが、意外に佃煮の味に飽きるということはない。味が単調ではなく、豊かで濃厚な風味があるからなのかもしれない。こういうのを本来の「おかず力」というんだろうな。たんにしょっぱいだけでは、ご飯は進むけれども満足感は薄い。
そして難なく四杯目も完食。これでご飯は終了。最後まで、美味しく味わえた。

食べる前後の海苔の佃煮のびんの重さを比較する。食べた量は、21グラムだった。ご飯一杯では約5グラム。
びんに記載の栄養成分値では、一食分を10グラムとしている。たぶんご飯1.5合は2食分くらいではないだろうか。とすると10グラム×2食分で20グラムだから、だいたん標準量どおりに食べたことになる。
この量だと塩分は合計で約1.5グラム。これだけ食べても余裕で許容範囲内ということになる(詳細は省略)。

お腹はちょうどいい具合に満たされている。そして美味しいものを食べたという満足感もある。海苔の佃煮をあらためて見直してしまった。桃屋さんはエラい。
でもやっぱりおかずとしての「華」はないなあ。
「ごはんですよ!」のびんのデザインがカラフルなのは、もしかして明るいイメージにするため?

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