2014年6月6日金曜日

ジミー・ペイジ&ブラック・クロウズ 『ライヴ・アット・ザ・グリーク』


今回は、ジミー・ペイジ&ブラック・クロウズの『ライヴ・アット・ザ・グリーク(Live At The Greek)』(2000年)の紹介。前回のペイジ&プラントの『ノー・クォーター』に続いて、ツェッペリンのカヴァー・アルバム特集の第2弾だ。

「…アット・グリーク」といっても、べつにギリシャで行われたライヴではない。ジミー・ペイジとブラック・クロウズが199910月、LAのグリーク・シアターで行なったライヴだ。
内容は、ツェッペリン・ナンバーのカヴァーを、ブルース・クラシックなども交えながら演奏したもの。注目は、ジミー・ペイジ本人も加わってツェッペリンの曲を再現していることだ。
アルバムは2枚組で、曲目は以下のとおり。

ディスク:1

1. 祭典の日(Celebration Day
2. カスタード・パイ(Custard Pie
3. シック・アゲイン(Sick Again
4. 強き二人の愛(What Is And What Should Never Be
5. ウォーク・アップ・ディス・モーニング(Woke Up This Morning
6. シェイプス・オブ・シングス・トゥ・カム(Shapes Of Things
7. スロッピー・ドランク(Sloppy Drunk
8. テン・イヤーズ・ゴーン(Ten Years Gone
9. 死にかけて(In My Time Of Dying
10. 時が来たりて(Your Time Is Gonna Come

ディスク:2

1. レモン・ソング(The Lemon Song
2. 俺の罪(Nobody's Fault But Mine
3. ハートブレイカー(Heartbreaker
4. ヘイ・ヘイ・ホワット・キャン・アイ・ドゥ(Hey Hey What Can I Do
5. メロウ・ダウン・イージー(Mellow Down Easy
6. オー・ウェル(Oh Well
7. シェイク・ユア・マネー・メイカー(Shake Your Money Maker
8. ユー・シュック・ミー(You Shook Me
9. アウト・オン・ザ・タイルズ(Out On The Tiles
10. 胸いっぱいの愛を(Whole Lotta Love
<ボーナス・トラック>
11. イン・ザ・ライト(In The Light
12. ミスティ・マウンテン・ホップ(Misty Mountain Hop


■スタジオ・テイクをライヴで再現

このアルバムの演奏は、ツェッペリン・ナンバーをほぼ完全コピーしたものだ(厳密には完全なコピーではないので、ここではカッコつきの「完コピ」という言い方にする)。
ところでカヴァー・アルバム、それも「完コピ」の場合、そのコピーの精度が高ければ高いほど、逆にその存在意義を問われることになる。つまり、本物そっくりなら、いっそ本物そのものを聴いた方がよいということになるからだ。

しかし、このアルバムの「完コピ」には、それなりの価値があるのだ。コピーしているのが、ツェッペリンの曲のスタジオ・テイクだからだ。
ライヴにおいては、ツェッペリン自身もスタジオ・テイクの完全な再現(つまり完コピ)はしていない(というか、できない)。これはスタジオ・テイクの多重録音によるギターのアンサンブルを、生では再現できなかったためだ。そこでペイジは、ギター1本で弾けるようにライヴ用にアレンジして演奏していた。

だからスタジオ・テイクを、ライヴの場で「完コピ」して再現したこのアルバムの演奏には、十分に価値があることになる。アルバム冒頭の「祭典の日」が始まると、すぐその意味がわかる。スタジオ・テイクの多重録音によるギターのアンサンブルが、生でみごとに再現されているのだ。
またスタジオ・テイクへのこだわりは、たとえば「胸いっぱいの愛を」でもわかる。ライヴにおけるツェッペリンは、つねにさまざまな曲をメドレーにして間にはさみ、この曲をロックン・ロール大会にしていた。ところが、ブラック・クロウズは、あえてスタジオ・テイクのとおりの構成で演奏しているのだ。

ペイジも含めてのトトリプル・ギターが、これを可能にしている。だからこのカヴァー・アルバムは、ある意味、ツェッペリンよりもツェッペリンらしいとも言えるだろう。

ただし、ちょっとやり過ぎの曲もある。
たとえば「ユー・シュック・ミー」。ツェッペリンのオリジナルは、ギター1本とサイドにオルガンが入るだけのシンプルな演奏だった。それがここでは、ギター3本にピアノまで入って、かなりにぎやか。そのためオリジナルにあった研ぎ澄まされたような感じはなくなっている。
その他、「時が来たりて」や「レモン・ソング」では、「完コピ」ではなく、曲の構成を一部変えて演奏している(詳しくは、文末参照)。


■アルバムの味わいどころ

さてこのアルバムの聴きどころ、味わいどころは、ジミー・ペイジが参加していること、なんかではなくて次の3点だ。
① 「完コピ」して見えてくる演奏の違い
② 選曲の妙
③ トリプル・ギターによるぶ厚い音の迫力

まず①だが、これは一般的なことで、カヴァー・アルバムの最大の味わいどころというのは、結局オリジナルとどう違うかということだと思う。そっくりなら、そもそも聴く必要がないわけだし。
このアルバムで本家と一番違うのは、やはりヴォーカルだ。ブラック・クロウズのヴォーカリスト クリス・ロビンソンは、シャウトの声質など意外にロバート・プラントに似ている。だから聴いていて、それほど違和感はない。

しかし、何と言うか、いわばキャラクターが全然違う。プラントのヴォーカルのような神経がぎりぎりと張りつめたような声ではなくて、もっと野太く伸びやかな感じ。南部的なおおらかさ、あるいは、いなたさとでも言ったらいいか。プラントは、もっと病的で冷ややかな感じがする。
そして、これはヴォーカルだけではなく、バンドの演奏そのものにも言えることなのだ。

そして②の選曲の妙。
このアルバムの選曲はなかなか凝っているように見える。
ツェッペリンの曲の選曲は、満遍なくというのではなく、かなりかたよっている。たとえば『フィジカル・グラフィティ』からの曲がすごく多い。しかも、ツェッペリン自身は、ライヴでやらなかった「カスタード・パイ」とか「イン・ザ・ライト」、あるいはめったにライヴで演奏しなかったライヴ・レア曲である「時が来りて」や「アウト・オン・ザ・タイルズ」をちゃんと選んでいる。

またツェッペリン以外の曲の選曲も、「シェイプス・オブ・シングス」や「オー・ウェル」など、あえてツェッペリンにとってワケありの曲を選んでいるフシがある。
ただこの選曲には、いろいろと謎もあり、これについてあとでもう少し詳しく検討してみることにする。

そしてこのアルバムの最大の聴きどころは、何と言っても③のトリプル・ギターによるぶ厚い音の迫力だ。
ブラック・クロウズのギタリストは、リッチ・ロビンソンとアウディ・フリードの二人。これにジミー・ペイジが加わってトリプル・ギターとなるわけだ。
このトリプルのギターによって、オリジナルの複雑なギター・アンサンブルが、生で見事に再現されている。とくに「祭典の日」、「テン・イヤーズ・ゴーン」、「死にかけて」、「俺の罪」あたりの演奏は迫力満点だ。

また3本のギターが重なって作り出すぶ厚いリフの迫力もすごい。「カスタード・パイ」、「シック・アゲイン」、「ハートブレイカー」、「アウト・オン・ザ・タイルズ」、「胸いっぱいの愛を」、「ミスティ・マウンテン・ホップ」あたりでは、迫ってくるぶ厚い音の壁に圧倒される。


■アルバムの曲構成について

このアルバムは2枚組だが、どちらのディスクも曲の構成はまったく同じ(とりあえず日本盤のみのボーナス・トラック2曲は考えないことにする)。
ツェッペリンの曲を4曲やって、次にツェッペリン以外のカヴァーを3曲、そしてまたツェッペリン3曲でしめている。しかも、このツェッペリン以外のカヴァー3曲は、どちらのディスクも、2曲のブルース・クラシックで、ロックの曲1曲をはさむ配列になっている。

つまり、ディスク1と2は、きれいにシンメトリーの構造になっているわけだ。これはたまたまなのだろうか。意図したとすれば、かなり几帳面で緻密な構成と言える。ブラック・クロウズの人たちって、南部の大雑把なヤンキーというイメージだから、これはかなり意外ではある。
そして、もし曲の配列に緻密な計算があったのだとすれば、そもそもこのアルバムの曲の選択そのものも、かなり練られた意図にもとづいているのではないか、と思えてくるのだ。


■選曲の謎その1 他のロック・バンドの曲

このアルバムには、ツェッペリンの曲14曲(ボーナス・トラックも入れると16曲)、ブルース・クラシック4曲、そして他のロック・バンドの曲2曲の計20曲(ボー・トラ込み22曲)が収められている。
これらの曲のラインナップを見ると、いろいろな疑問がわいてくる。それらを順に述べてみよう。

まず、他のロック・バンドの2曲だ。その2曲とは、ヤードバーズの「シェイプス・オブ・シングス・トゥ・カム」と、フリートウッド・マックの「オー・ウェル」。
この2曲を取り上げたのは、ペイジが、もとヤードバーズにいたからとか、フリートウッド・マックが、ブリティッシュ・ブルースのさきがけだから、というようなわけでは絶対ない。

「シェイプス・オブ・シングス・トゥ・カム」は、もともとヤードバーズの曲ではあるが、ここでブラック・クロウズが演奏しているのは、ヤードバーズではなく、あきらかにジェフ・ベック・グループの「シェイプス・オブ・シングス」のアレンジだ。
ジェフ・ベック・グループのこの曲は、彼らのデヴュー・アルバム『トゥルース』の冒頭に収められている。『トゥルース』は、ツェッペリンのデヴュー・アルバムの半年前に発表された。ペイジがツェッペリンのデヴュー作を作るにあたり、対抗意識を燃やし、また手本にしたのが、この『トゥルース』だったと一般的には言われている。もっともペイジ自身は、それを否定しているらしいが。

そんな「お手本疑惑」のある曲を、何でここでツェッペリンの曲と並べてカヴァーしたのだろう。開き直りか。う~ん、謎だ。

もうひとつのフリートウッド・マックの「オー・ウェル」も、同じような事情を持っている。ツェッペリンの「ブラック・ドッグ」のヴォーカルのメロディは、この曲からヒントを得たものだという。実際聴いてみると、メロディというより、演奏がブレイクしたときにヴォーカルが入るというアイデアのことだと思われるのだが。この曲の場合は、ペイジ自身その影響関係を認めている。
でもそんな元ネタ曲を、何もわざわざここでやらなくてもいいんじゃないの。

というわけで、他のロック・バンドの2曲は、どちらもワケありの曲なのだった。何で取り上げたのかは謎。演奏はどちらもすごく良いのだけど…。


■選曲の謎その2 ブルース・クラシックスの選曲

そんなワケあり曲をそれぞれはさんで、ブルース・カヴァーが4曲並んでいる。B..キングの「ウォーク・アップ・ディス・モーニング」、ジミー・ロジャース(カントリー歌手じゃない方ね)の「スロッピー・ドランク」、リトル・ウォルターの「メロウ・ダウン・イージー」、そしてエルモア・ジェイムズの「シェイク・ユア・マネー・メイカー」だ。

私はブルースに詳しくない。だから、はっきりしたことは言えない。でも、とにかく、いずれもそれなりの有名どころの定番曲であることはまちがいないらしい。
たとえば「シェイク・ユア・マネー・メイカー」なんかは、上に出てきたフリートウッド・マックや、近年ではクラプトン&ベックがコンビでカヴァーしたりしている。ちなみに、ブラック・クロウズのデヴュー・アルバムのタイトルは、この曲から取っているらしい(カヴァーはしていないらしいが)。

アルバムの構成上、各ディスクの中ほどに、ノリのよいこれらの曲が置かれることで、ちょうどよい息抜きになっている。そして、何より、どの曲にも、ペイジが加わってのジャム的な楽しさがある。4曲中3曲で、ペイジにソロを振る「ジミー!」という掛け声が聴ける。

しかし、ちょっとだけ不思議なことがある。
ツェッペリンは、直接カヴァーするのとは別に、ブルースを曲作りの元ネタにしていたことはよく知られている。そのために数々のトラブルも引き起こしてきたわけだ。
そのようなツェッペリンの曲の元ネタとして、おなじみなのは、たとえばロバート・ジョンスン、マディ・ウオーターズ、ハウリン・ウルフ、オーティス・ラッシュ、アルバート・キング、サニー・ボーイ・ウィリアムスンⅡといった人たちだ。こういう人たちの名前が今回、全然出てこないのは、たまたまなのだろうか。上に書いたように、他のロック・バンドの曲の場合は、ワケありの曲をわざわざ選んでいるというのに。まあ、何とも言えないのだけれど。

そんなことを考えていると、クロウズたちは、これらの曲を、もしツェッペリンがカヴァーしたらこんな風にやっただろう、と想定して演奏しているように聴こえてしまった。もっともブラック・クロウズが、ふだんどんな演奏をしているのかも知らないのだけれど。
でもとくにリトル・ウォルターの「メロウ・ダウン・イージー」なんかは、オリジナル版よりもリズム隊がぐっと重低音化して、怒涛のような推進力を増している。ダブルのスライド・ギターとブルース・ハープが粘っこい。まさにツェッペリンがカヴァーしたら、こんな感じになるだろうとい気がする。


■選曲の謎その3 ツェッペリン・ナンバーの選曲

上にも述べたようにこのアルバムは、2枚のディスクに各7曲ずつツェッペリン・ナンバーが収められている。ボーナス・トラックは日本盤のみだから、とりあえず置いておく。
それらの曲が、もともと収録されているツェッペリンのオリジナル・アルバム別の内訳は次のとおりだ。

ディスク1の7曲は、『フィジカル・グラフィティ』から4曲、あとはファースト・アルバム(以下『Ⅰ』)、セカンド・アルバム(以下『Ⅱ』)、サード・アルバム(以下『Ⅲ』)からそれぞれ1曲ずつ。
ディスク2の7曲は、 『Ⅱ』から3曲、『Ⅰ』、『Ⅲ』、『Ⅲ』のアウト・テイク、『プレゼンス』から各1曲だ。
つまり、ディスク1は、7曲中4曲を占める『フィジカル・グラフィティ』特集である。ディスク2は、『Ⅰ』~『Ⅲ』(アウト・テイク含む)からの曲が計6曲で大半を占めている。というか、ディスク1にも、3曲あるから、このアルバムの全体が、『Ⅰ』~『Ⅲ』と『フィジカル・グラフィティ』特集ということになるわけだ。

これは、かなりかたよった選曲と言えないだろうか。
『Ⅰ』から『Ⅲ』までの、ツェッペリンの初期のアルバムはもちろん素晴らしい。6枚目の『フィジカル・グラフィティ』も、良いアルバムだ。しかし、4枚目(フォー・シンボルズ)や5枚目の『聖なる館』、そして7枚目の『プレゼンス』を、ほとんど無視というのは極端ではないのか。まあその後の『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』と『コーダ』をスルーするのは当然としても。
たんにブラック・クロウズの面々が、この4枚をとくに好きだったということなのだろうか。

というわけでこのアルバムには、「天国への階段」は入っていない。4枚目には他に、「ブラック・ドッグ」とか、「ロックン・ロール」とか、「レヴィー・ブレイク」みたいな、いかにもブラック・クロウズに似合いそうな曲があるのだが、みんな無視されたわけだ。
次の『聖なる館』 の「ダンシング・デイズ」とか「オーシャン」なんかも、クロウズに向いていそうな気がするのだが。

しかし考えてみると、『Ⅰ』から『Ⅲ』と『フィジカル・グラフィティ』の中にも、こっちの方が良かったのでは、と思いたくなる曲がないではない。
『Ⅰ』から『Ⅲ』では、「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」とか、「コミュニケイション・ブレイクダウン( とか、「リヴィング・ラヴィング・メイド」みたい高速曲はどうして取り上げなかったのだろう。 
「ハウ・メニー・モア・タイムズ」なんかもリフが効いていて、クロウズ好みなのでは。
また、「ユー・シュック・ミー」をやるなら、他に「君から離れられない」とか「貴方を愛しつづけて」みたいなツェッペリン流ブルースの名曲もあったはずだが。
それからまた「幻惑されて」とか「移民の歌」のような代表曲は、いかにも当たりまえ過ぎて避けたのだろうか。でも「胸いっぱいの愛を」はやっているわけだし…。

『フィジカル・グラフィティ』では、「流浪の民」とか「 聖なる館」とか「夜間飛行」なんかでも、よかったような気がする。「ワントン・ソング」もそのひとつなのだが、これは実際に取り上げて演奏したようだ(ユー・チューブで見た)。
それから取り上げた「イン・ザ・ライト」と同じ系統ということで、「カシミール」なんかも面白かったのではないだろうか。

というわけで、何でこれらの曲ではなく、結果的にアルバムに収録されている14曲になったのかは、もうひとつよくわからない。あらためて、曲目をながめると、けっこう渋くてマニアックな選曲のようにも感じられる。
少なくとも、本家ツェッペリンがライヴで全然やらなかった曲(あるいはライヴでレアな曲)を入れよう、というこということは考えただろう。たとえば「カスタード・パイ」とか「イン・ザ・ライト」などのように。
それから、ツェッペリン・ナンバーとしては、あまりおなじみでない曲も入れようと思ったのかもしれない。『Ⅲ』のアウト・テイクで、シングルB面曲の「「ヘイ・ヘイ・ホワット・キャン・アイ・ドゥ」」(A面の「移民の歌」はやらないのにね)は、それにあたるだろう。
そしてもちろん、ペイジも含めたトリプル・ギターの迫力を活かせる曲を選んだに違いない。まあ、それでも、最終的に何でこういうラインナップになったのかは、いまひとつ納得がいかないわけだが。謎だ。


■「完コピ」とは違う曲についてのメモ

最初にも書いたとおり、基本「完コピ」の演奏の中で、オリジナルとは、ちょっと違う形で演奏している曲がいくつかある。以下は、それについてのメモだ。

「時が来たりて」

オルガンのイントロは、オリジナル版と若干違ったアレンジになっている
オリジナル版のラストは、ヴォーカルがリフレインしながらフェイド・アウトしていき、次の「ブラック・マウンテン・サイド」につながっている。ここでは、ヴォーカル・パートの後にギターの長いソロがあり、さらにその後イントロに準じたオルガン・ソロがあって終わっている。

「レモン・ソング」

オリジナル曲には、中盤に、ゆるやかに跳ねるベース・ラインの上で、ヴォーカルとギターが粘っこく絡む間奏パートがあった。
ここでの演奏では、間奏パートが2回繰り返されている。最初の方は長いギター・ソロがフィーチャーされ、2回目は、ヴォーカルとギターのオリジナルよりやや激しい絡みの後、ピアノにソロが回されている。

最初の方のジミー・ペイジのソロは、入り方を間違えた上に、なかなかのれず、かなり残念なプレイだ。

「ハートブレイカー」

ツェッペリンの代表曲。厚いリフがよい。
この曲には、あのギターの「無伴奏ソロ」があるわけだが、ペイジがどのようにこれを再現するのかが気になるわけだ。オリジナルとそっくりにやるのか。それとも、全然別のフレーズで来るのか。
結局は、スタジオ・テイクのフレーズをいかしつつ、ちょっと崩してみたというところ。当然だが、やっぱり往年のサエはない。

「ユー・シュック・ミー」

ツェッペリンのオリジナルは、ギター1本とサイドにオルガンが入るだけの演奏だった。それがここでは、ギター3本にピアノまではいってかなりにぎやか。幾重にも重なるスライドのうねりがすごいのではあるが…。
それから、ヴォーカルとギターのユニゾンが下降していく例の特徴的なフレーズまでは真似していない。
その結果、オリジナルにあった研ぎ澄まされた感じはなくなっている。そこが他のバンドにない、まさにツェッペリンの魅力だったのだが。何だかふつうのブルース・カヴァーになってしまった感じ。

「胸いっぱいの愛を」

前曲(「アウト・オンザ・タイルズ」)から連続して始まるところがニクイ。
中盤のサイケデリックなパートは、スタジオ・テイクの雰囲気を再現している(人力のエコー効果はちょっと笑える)。ただ、ペイジのソロは、原曲と違ってワウワウ・ペダルで歪んだ音にしている。


ツェッペリンはライヴでは、さまざまなロックン・ロールやブルース曲をはさんでメドレー形式で演奏していたが ここではあえてスタジオ・テイクの構成を再現している。

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