2014年6月30日月曜日

東京散歩 「三つの『ヒルズ』を巡る」 赤坂通りと六本木通りを行ったり来たり



6月下旬のある日、東京に出かける用事があったので、ついでに久しぶりでじっくり散歩をしてみることにした。
用件があるのは南青山の骨董通りの裏手。そこで、まず赤坂を起点にして、赤坂通りをずっとたどって目的地まで行くことにした。それから用向きが終わった後は、骨董通りから今度は六本木通りに出て赤坂方面に戻る。そして、アークヒルズまで来たら、その中を通って虎ノ門方面に抜け、オープンしたばかりの虎ノ門ヒルズに寄ってみようと考えた。
なおタイトルは「『ヒルズ』を巡る」としたけれど、それぞれのヒルズそのものに関する情報は、ほとんどありません。それを期待してこのページにお越しの方は、他のページに移動されることをお勧めします。


<赤坂通りを行く>

梅雨の晴れ間の蒸し暑い日だった。曇りがちで直射日光は差さないから、取りあえずは散歩日和。
出発地点は、なぜかTBS放送センター脇のウルトラマンの前(赤坂見附の駅で降りたので、どこから出発してもよかったのだが)。TBS脇の緑の小道を抜けると、そこが赤坂通りだ。ここをどこまでもまっすぐにたどっていけば、青山の骨董通りに出るはずなのだ。

赤坂通りは、片側一車線のそれほど広くない通りだ。名前に「赤坂」がついているから、ちょっと派手&高級なイメージがある。でも実際は、地方都市のどこにでもありそうな裏通りといった感じの地味な通りだ。
たしかに高そうなマンションや、ちょっと凝った構えのレストランもある。そんな中に、いかにも昔から続いていそうな小さなお菓子屋さんや街の電気屋さんなんかもあったりする。しかしラーメン屋やファスト・フード店、居酒屋などもやけに多い。わざわざ散歩に歩くほどの街並みでもない。まあ、私もそんなところをわざわざ好き好んで歩いているわけなんだけれど。
しかし、注目すべきはその道筋がまっすぐではなくて、ゆるやかにくねっていること。昔からある古い道筋の名残りなのだろう。両側の建物は変わっても、道の筋はそのまま残っているわけだ。

出発して5分も歩くと、もう左奥に東京ミッドタウンの高い建物が見えてくる。そして、赤坂小前の変則の交差点を渡ると、右側に赤坂小学校、左手の高台の上に赤坂中学校がある。この中学校の向こうがミッドタウンの庭に接している。
こんなところの小中学校に通っている児童生徒の皆さんは、きっとみんな気の利いた典型的な都会っこなんだろうな、と田舎ものの私としては恐れをなしてしまう。

まもなく道は乃木坂に差し掛かるのだが、あまり坂の感じはしない。右側にあのジャニーズの事務所がある。意外と地味。その先に乃木会館、乃木神社と続き、そこで赤坂通りは、外苑東通りにぶつかる。というか実際にはぶつからないで、その下にもぐり込んでいる。これが乃木坂トンネルだ。
ここを左に行けば、東京ミッドタウンの前を通って、六本木の交差点だ。ここまで、歩き始めてから約10分。赤坂と六本木はすごく近い。
ちなみに左手の角のひとつとなりにSME(ソニー・ミュージック・エンタテイメント)の乃木坂ビルがある。乃木坂と言えば、今はアイドル・グループ乃木坂46の街として知られているのではないだろうか。このグループ名は、このソニーのビルに由来するらしい(詳しくは各自で)。

乃木坂トンネルの入り口の階段を上がる。ここからは、トンネルの上を歩いていく。トンネルが出来る前は、ここが赤坂通りだったのだろう。中央分離帯もある立派な道路なのだが、今はひっそりとしている。都会の真ん中の広い通りが静まり返っているのは、何だかちょっとシュールな風景だ。
それもそのはず、この通りはトンネルの向こう側の出口の上で行き止まりになっている袋小路なのだった。

車道は行き止まりになっても、歩道は続いている。進んでいくと下り坂の細い通だ。右側はトンネルが続いている。高台が終わっても、チューブ状にトンネルが続いているのだ。左側は柵があって見晴らしが悪いが、国立新美術館の裏手に当たっている。けっこうな下り坂だが、自転車に乗った外国人の若者が、何人もすいすい上ってきてすれ違った。
歩道は今度は日本学術会議の建物の裏にさしかかる。そこから先は、下が谷のようになっていて、そこを左右に大きな通りが通っている。その上にかかるこの橋は、南青山陸橋というのだそうだ。もう右側はこのあたりから南青山なのだった。

橋の向こうは青山霊園。緑が広がっている。都会の真ん中とは思えないような深い緑の一帯だ。歩道の車道側の街路樹と、墓地の敷地内の樹木が左右から枝を張り出して緑のトンネルになっている。薄陽が差してきたので、この木陰がありがたい。快適な散歩道だ。
左手奥には、林立する墓石の向こうに六本木ヒルズがそびえたっているのが見える。墓石と近代的な高層ビル。なかなか面白い取り合わせだ。
墓地中央の交差点には、自販機とトイレがある。飲み物を買って、汗を拭きながらここで小休止。出発してからまだ15分も経っていないのだけれど。

再び緑のトンネルの中を歩いていくと、また橋に出る。これは、青山橋だ。この下を左右に通っているのが、外苑西通り。橋の向こうには、青山霊園の飛び地がある。墓地を見下ろしながら通り過ぎると、いよいよ青山のオシャレ・エリアに入る。気が利いたお店がぽつぽつと増えてくるが、まあ私には関係ないなあ。
ほどなく根津美術館前の交差点。ここを、右に進むと表参道の交差点だ。根津美術館は、5年ほど前にリニューアルしたのだが、新しくなってからまだ中に入ったことがない。いずれ入ってみたいものだ。

そのまままっすぐ進んでやっと骨董通りに到着。出発してから30分経過。あれ、私の持っている地図では、ここで赤坂通りは終わっているのだが、実際は交差点になっていて、まだ先に続いている。どうやらここ何年かの間に道が出来て、少し先の六本木通りにこのまままっすぐ直結したらしい。


<六本木通りを行く>

青山で用件終了後、散歩を再開。骨董通りを青山通りとは反対方向に歩いていく。この通りもごちゃごちゃとした地方都市にもよくあるような街並みだ。たしかに、オシャレなブティックやレストランもちらほらあるにはある。しかし、全体としては殺風景。それにしても、骨董屋はあまり見ない。

やがて道は高樹町交差点で、六本木通りに斜めにぶつかる。角にあるのが、富士フィルムの本社ビル。社名はフィルムだが、通りに面する看板で宣伝しているのは化粧品ばかりだ。
六本木通りは、さらに殺風景な通りだ。片側3、4車線の大きな通りで、しかもその上を首都高3号線の高架が通っている。田舎の人間にとっては、高架下の道路という場所は、何となく場末感が漂うイメージがある。しかし、ここはまぎれもなく東京の繁華街のひとつなのである。そんなイメージと現実のギャップがどうにも埋まらない。

道はゆるやかに下っている。ちょっと先の西麻布の交差点が谷底のようだ。六本木通りが外苑西通りと交わるのが、西麻布の交差点。オシャレで高級な夜のお店が集まっているらしいが、昼間だから全然わからない。まあわかってもべつに関係ないけど。

交差点を越えると、今度はゆるい上り坂。蒸し暑くてくたびれてきた。やがて巨大な六本木ヒルズのふもとに到着。ビルを見上げながらエスカレーターで一段あがり、クモのオブジェのある広場で休憩。ここは、幅広い滝があり、風も通り抜けて涼しい。
ここに来るのは、ずいぶん久しぶりだ。でも、ヒルズの中には別に用事もないので、少し休憩してから再び舗道に下りて歩き始める。

六本木はやっぱり人が多い。六本木の交差点は、東京ミッドタウンの方に行く人と来る人でいっぱいだ。そのミッドタウンを左手に見ながら、まっすぐ歩いていく。道はまた下り坂になる。この坂は市三坂というらしい。このあたりは本当に坂が多いことを実感する。
六本木に来ても、交差点よりこちらの方面に来る機会はなかった。六本木交差点の向こうの六本木ヒルズのある側に比べると、こちらは古いビルが多くて何だかくすんだ感じ。やはり高架の下の場末感が漂う。

やがて首都高3号線と都心環状線が分岐する谷町ジャンクションに到着する。名前のとおり、谷底のような場所だ。
上り下りの高架の道路が空中で複雑に入り組んでいる。地上では道路がトライアングル状態になっている。どこをどう渡れば、向こうに行けるのかよくわからない。が、横断歩道を渡って、うろうろしながらなんどか歩道橋にたどり着く。
その歩道橋を歩いていくと、道の向こうのアークヒルズに直結していた。ここで、六本木通りとはお別れだ。


<アークヒルズから虎ノ門ヒルズへ>

アークヒルズには、ほとんど縁がない。中にあるサントリー・ホールに一度だけ来たことがある。ショップも飲食中心だし、周辺に立ち寄るようなところもないから、こんなことでもなければ近寄る機会もなかった。
建物の中を抜けて施設の中ほどの広場に出る。ビルの狭間にあるがらんとした空間だ。人影もほとんどなくて、オープン・カフェで憩っている人たちが数組いるだけ。
六本木通りの喧騒から離れて落ち着いた気分になる。ぶらぶらしながら、左手のちょっとこった池をのぞいてみたりする。それから、中央の階段を上がって裏手の方へ。
このあたりはマンションのエリアなのか、緑が多くて小さな庭園風に整備されている。ここも人気(ひとけ)がなく、涼しげでさわやか。

そのままアークヒルズの裏手に抜けると、そこには短い路地。レンガの茶色と植え込みの緑が落ち着いた雰囲気を醸し出している。たしかこの右手の奥にはスペイン大使館があるはずだ。
この短い路地の突き当りの正面がホテル・オークラの別館。その前の道を左に曲がる。ここをまっすぐ行くと霊南坂だ。近くには有名な霊南坂教会もあるはず。
アークヒルズからこのあたり一帯は、静かで落ち着いた雰囲気だ。今度はこの辺をじっくり散歩してみることにしよう。

別館の隣にホテル・オークラの本館がある。この本館と別館の間の道を右に曲がって進んでいく。その道は左に曲がりながらホテルの裏手に回りこんでいる。そのあたりが、かなり急な下り坂で、江戸見坂という名前が付いている。あちこちにある富士見坂の反対で、ここからは江戸が見渡せたということなのだろうか。今は坂の向こうに虎ノ門ヒルズの巨大な姿が見える。先日オープンしたばかりのピカピカの新品だ。

坂下の交差点を右に曲がる。そんなに広くない昔ながらの道だ。これを少し進んで、広い桜田通りをわたると風景は一変。そこはもう虎ノ門ヒルズのふもとエリアだった。見上げても高過ぎて様子がよくわからない。

エスカレーターがあったので昇っていく。しゃれた緑のエリアを見ながら建物の中へ。外の庭園を大きなガラス越しに取り込んだ建物内の空間に、オープン・カフェ風のお店がいくつも続いている。飲食のお店ばかりだから、きょろきょろしながら中を素通りするしかない。まあだいたい様子はわかった。
ともかくこれで目的地到着。青山からの散歩は、所要約1時間。けっこうくたびれた。

事前にはまったく考えていなかったのだが、結果的に今日の散歩は、三つの「ヒルズ」、つまり六本木ヒルズ、アークヒルズ、虎ノ門ヒルズを巡るコースということになってしまった。あまり建物の中身に興味がないので、それぞれそのふもとを通り抜けただけなのではあるが。
ちなみに、日本で1番高いビルは、東京ミッドタウンで、虎ノ門ヒルズがこれに次いで2番目なのだという。六本木ヒルズは6番目で、アークヒルズはもっとずっと下位だった。
とにかく、どれもみんな大きなビルでした。おわり。


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