2014年6月6日金曜日

ジミー・ペイジ&ブラック・クロウズ 『ライヴ・アット・ザ・グリーク』


今回は、ジミー・ペイジ&ブラック・クロウズの『ライヴ・アット・ザ・グリーク(Live At The Greek)』(2000年)の紹介。前回のペイジ&プラントの『ノー・クォーター』に続いて、ツェッペリンのカヴァー・アルバム特集の第2弾だ。

「…アット・グリーク」といっても、べつにギリシャで行われたライヴではない。ジミー・ペイジとブラック・クロウズが199910月、LAのグリーク・シアターで行なったライヴだ。
内容は、ツェッペリン・ナンバーのカヴァーを、ブルース・クラシックなども交えながら演奏したもの。注目は、ジミー・ペイジ本人も加わってツェッペリンの曲を再現していることだ。
アルバムは2枚組で、曲目は以下のとおり。

ディスク:1

1. 祭典の日(Celebration Day
2. カスタード・パイ(Custard Pie
3. シック・アゲイン(Sick Again
4. 強き二人の愛(What Is And What Should Never Be
5. ウォーク・アップ・ディス・モーニング(Woke Up This Morning
6. シェイプス・オブ・シングス・トゥ・カム(Shapes Of Things
7. スロッピー・ドランク(Sloppy Drunk
8. テン・イヤーズ・ゴーン(Ten Years Gone
9. 死にかけて(In My Time Of Dying
10. 時が来たりて(Your Time Is Gonna Come

ディスク:2

1. レモン・ソング(The Lemon Song
2. 俺の罪(Nobody's Fault But Mine
3. ハートブレイカー(Heartbreaker
4. ヘイ・ヘイ・ホワット・キャン・アイ・ドゥ(Hey Hey What Can I Do
5. メロウ・ダウン・イージー(Mellow Down Easy
6. オー・ウェル(Oh Well
7. シェイク・ユア・マネー・メイカー(Shake Your Money Maker
8. ユー・シュック・ミー(You Shook Me
9. アウト・オン・ザ・タイルズ(Out On The Tiles
10. 胸いっぱいの愛を(Whole Lotta Love
<ボーナス・トラック>
11. イン・ザ・ライト(In The Light
12. ミスティ・マウンテン・ホップ(Misty Mountain Hop


■スタジオ・テイクをライヴで再現

このアルバムの演奏は、ツェッペリン・ナンバーをほぼ完全コピーしたものだ(厳密には完全なコピーではないので、ここではカッコつきの「完コピ」という言い方にする)。
ところでカヴァー・アルバム、それも「完コピ」の場合、そのコピーの精度が高ければ高いほど、逆にその存在意義を問われることになる。つまり、本物そっくりなら、いっそ本物そのものを聴いた方がよいということになるからだ。

しかし、このアルバムの「完コピ」には、それなりの価値があるのだ。コピーしているのが、ツェッペリンの曲のスタジオ・テイクだからだ。
ライヴにおいては、ツェッペリン自身もスタジオ・テイクの完全な再現(つまり完コピ)はしていない(というか、できない)。これはスタジオ・テイクの多重録音によるギターのアンサンブルを、生では再現できなかったためだ。そこでペイジは、ギター1本で弾けるようにライヴ用にアレンジして演奏していた。

だからスタジオ・テイクを、ライヴの場で「完コピ」して再現したこのアルバムの演奏には、十分に価値があることになる。アルバム冒頭の「祭典の日」が始まると、すぐその意味がわかる。スタジオ・テイクの多重録音によるギターのアンサンブルが、生でみごとに再現されているのだ。
またスタジオ・テイクへのこだわりは、たとえば「胸いっぱいの愛を」でもわかる。ライヴにおけるツェッペリンは、つねにさまざまな曲をメドレーにして間にはさみ、この曲をロックン・ロール大会にしていた。ところが、ブラック・クロウズは、あえてスタジオ・テイクのとおりの構成で演奏しているのだ。

ペイジも含めてのトトリプル・ギターが、これを可能にしている。だからこのカヴァー・アルバムは、ある意味、ツェッペリンよりもツェッペリンらしいとも言えるだろう。

ただし、ちょっとやり過ぎの曲もある。
たとえば「ユー・シュック・ミー」。ツェッペリンのオリジナルは、ギター1本とサイドにオルガンが入るだけのシンプルな演奏だった。それがここでは、ギター3本にピアノまで入って、かなりにぎやか。そのためオリジナルにあった研ぎ澄まされたような感じはなくなっている。
その他、「時が来たりて」や「レモン・ソング」では、「完コピ」ではなく、曲の構成を一部変えて演奏している(詳しくは、文末参照)。


■アルバムの味わいどころ

さてこのアルバムの聴きどころ、味わいどころは、ジミー・ペイジが参加していること、なんかではなくて次の3点だ。
① 「完コピ」して見えてくる演奏の違い
② 選曲の妙
③ トリプル・ギターによるぶ厚い音の迫力

まず①だが、これは一般的なことで、カヴァー・アルバムの最大の味わいどころというのは、結局オリジナルとどう違うかということだと思う。そっくりなら、そもそも聴く必要がないわけだし。
このアルバムで本家と一番違うのは、やはりヴォーカルだ。ブラック・クロウズのヴォーカリスト クリス・ロビンソンは、シャウトの声質など意外にロバート・プラントに似ている。だから聴いていて、それほど違和感はない。

しかし、何と言うか、いわばキャラクターが全然違う。プラントのヴォーカルのような神経がぎりぎりと張りつめたような声ではなくて、もっと野太く伸びやかな感じ。南部的なおおらかさ、あるいは、いなたさとでも言ったらいいか。プラントは、もっと病的で冷ややかな感じがする。
そして、これはヴォーカルだけではなく、バンドの演奏そのものにも言えることなのだ。

そして②の選曲の妙。
このアルバムの選曲はなかなか凝っているように見える。
ツェッペリンの曲の選曲は、満遍なくというのではなく、かなりかたよっている。たとえば『フィジカル・グラフィティ』からの曲がすごく多い。しかも、ツェッペリン自身は、ライヴでやらなかった「カスタード・パイ」とか「イン・ザ・ライト」、あるいはめったにライヴで演奏しなかったライヴ・レア曲である「時が来りて」や「アウト・オン・ザ・タイルズ」をちゃんと選んでいる。

またツェッペリン以外の曲の選曲も、「シェイプス・オブ・シングス」や「オー・ウェル」など、あえてツェッペリンにとってワケありの曲を選んでいるフシがある。
ただこの選曲には、いろいろと謎もあり、これについてあとでもう少し詳しく検討してみることにする。

そしてこのアルバムの最大の聴きどころは、何と言っても③のトリプル・ギターによるぶ厚い音の迫力だ。
ブラック・クロウズのギタリストは、リッチ・ロビンソンとアウディ・フリードの二人。これにジミー・ペイジが加わってトリプル・ギターとなるわけだ。
このトリプルのギターによって、オリジナルの複雑なギター・アンサンブルが、生で見事に再現されている。とくに「祭典の日」、「テン・イヤーズ・ゴーン」、「死にかけて」、「俺の罪」あたりの演奏は迫力満点だ。

また3本のギターが重なって作り出すぶ厚いリフの迫力もすごい。「カスタード・パイ」、「シック・アゲイン」、「ハートブレイカー」、「アウト・オン・ザ・タイルズ」、「胸いっぱいの愛を」、「ミスティ・マウンテン・ホップ」あたりでは、迫ってくるぶ厚い音の壁に圧倒される。


■アルバムの曲構成について

このアルバムは2枚組だが、どちらのディスクも曲の構成はまったく同じ(とりあえず日本盤のみのボーナス・トラック2曲は考えないことにする)。
ツェッペリンの曲を4曲やって、次にツェッペリン以外のカヴァーを3曲、そしてまたツェッペリン3曲でしめている。しかも、このツェッペリン以外のカヴァー3曲は、どちらのディスクも、2曲のブルース・クラシックで、ロックの曲1曲をはさむ配列になっている。

つまり、ディスク1と2は、きれいにシンメトリーの構造になっているわけだ。これはたまたまなのだろうか。意図したとすれば、かなり几帳面で緻密な構成と言える。ブラック・クロウズの人たちって、南部の大雑把なヤンキーというイメージだから、これはかなり意外ではある。
そして、もし曲の配列に緻密な計算があったのだとすれば、そもそもこのアルバムの曲の選択そのものも、かなり練られた意図にもとづいているのではないか、と思えてくるのだ。


■選曲の謎その1 他のロック・バンドの曲

このアルバムには、ツェッペリンの曲14曲(ボーナス・トラックも入れると16曲)、ブルース・クラシック4曲、そして他のロック・バンドの曲2曲の計20曲(ボー・トラ込み22曲)が収められている。
これらの曲のラインナップを見ると、いろいろな疑問がわいてくる。それらを順に述べてみよう。

まず、他のロック・バンドの2曲だ。その2曲とは、ヤードバーズの「シェイプス・オブ・シングス・トゥ・カム」と、フリートウッド・マックの「オー・ウェル」。
この2曲を取り上げたのは、ペイジが、もとヤードバーズにいたからとか、フリートウッド・マックが、ブリティッシュ・ブルースのさきがけだから、というようなわけでは絶対ない。

「シェイプス・オブ・シングス・トゥ・カム」は、もともとヤードバーズの曲ではあるが、ここでブラック・クロウズが演奏しているのは、ヤードバーズではなく、あきらかにジェフ・ベック・グループの「シェイプス・オブ・シングス」のアレンジだ。
ジェフ・ベック・グループのこの曲は、彼らのデヴュー・アルバム『トゥルース』の冒頭に収められている。『トゥルース』は、ツェッペリンのデヴュー・アルバムの半年前に発表された。ペイジがツェッペリンのデヴュー作を作るにあたり、対抗意識を燃やし、また手本にしたのが、この『トゥルース』だったと一般的には言われている。もっともペイジ自身は、それを否定しているらしいが。

そんな「お手本疑惑」のある曲を、何でここでツェッペリンの曲と並べてカヴァーしたのだろう。開き直りか。う~ん、謎だ。

もうひとつのフリートウッド・マックの「オー・ウェル」も、同じような事情を持っている。ツェッペリンの「ブラック・ドッグ」のヴォーカルのメロディは、この曲からヒントを得たものだという。実際聴いてみると、メロディというより、演奏がブレイクしたときにヴォーカルが入るというアイデアのことだと思われるのだが。この曲の場合は、ペイジ自身その影響関係を認めている。
でもそんな元ネタ曲を、何もわざわざここでやらなくてもいいんじゃないの。

というわけで、他のロック・バンドの2曲は、どちらもワケありの曲なのだった。何で取り上げたのかは謎。演奏はどちらもすごく良いのだけど…。


■選曲の謎その2 ブルース・クラシックスの選曲

そんなワケあり曲をそれぞれはさんで、ブルース・カヴァーが4曲並んでいる。B..キングの「ウォーク・アップ・ディス・モーニング」、ジミー・ロジャース(カントリー歌手じゃない方ね)の「スロッピー・ドランク」、リトル・ウォルターの「メロウ・ダウン・イージー」、そしてエルモア・ジェイムズの「シェイク・ユア・マネー・メイカー」だ。

私はブルースに詳しくない。だから、はっきりしたことは言えない。でも、とにかく、いずれもそれなりの有名どころの定番曲であることはまちがいないらしい。
たとえば「シェイク・ユア・マネー・メイカー」なんかは、上に出てきたフリートウッド・マックや、近年ではクラプトン&ベックがコンビでカヴァーしたりしている。ちなみに、ブラック・クロウズのデヴュー・アルバムのタイトルは、この曲から取っているらしい(カヴァーはしていないらしいが)。

アルバムの構成上、各ディスクの中ほどに、ノリのよいこれらの曲が置かれることで、ちょうどよい息抜きになっている。そして、何より、どの曲にも、ペイジが加わってのジャム的な楽しさがある。4曲中3曲で、ペイジにソロを振る「ジミー!」という掛け声が聴ける。

しかし、ちょっとだけ不思議なことがある。
ツェッペリンは、直接カヴァーするのとは別に、ブルースを曲作りの元ネタにしていたことはよく知られている。そのために数々のトラブルも引き起こしてきたわけだ。
そのようなツェッペリンの曲の元ネタとして、おなじみなのは、たとえばロバート・ジョンスン、マディ・ウオーターズ、ハウリン・ウルフ、オーティス・ラッシュ、アルバート・キング、サニー・ボーイ・ウィリアムスンⅡといった人たちだ。こういう人たちの名前が今回、全然出てこないのは、たまたまなのだろうか。上に書いたように、他のロック・バンドの曲の場合は、ワケありの曲をわざわざ選んでいるというのに。まあ、何とも言えないのだけれど。

そんなことを考えていると、クロウズたちは、これらの曲を、もしツェッペリンがカヴァーしたらこんな風にやっただろう、と想定して演奏しているように聴こえてしまった。もっともブラック・クロウズが、ふだんどんな演奏をしているのかも知らないのだけれど。
でもとくにリトル・ウォルターの「メロウ・ダウン・イージー」なんかは、オリジナル版よりもリズム隊がぐっと重低音化して、怒涛のような推進力を増している。ダブルのスライド・ギターとブルース・ハープが粘っこい。まさにツェッペリンがカヴァーしたら、こんな感じになるだろうとい気がする。


■選曲の謎その3 ツェッペリン・ナンバーの選曲

上にも述べたようにこのアルバムは、2枚のディスクに各7曲ずつツェッペリン・ナンバーが収められている。ボーナス・トラックは日本盤のみだから、とりあえず置いておく。
それらの曲が、もともと収録されているツェッペリンのオリジナル・アルバム別の内訳は次のとおりだ。

ディスク1の7曲は、『フィジカル・グラフィティ』から4曲、あとはファースト・アルバム(以下『Ⅰ』)、セカンド・アルバム(以下『Ⅱ』)、サード・アルバム(以下『Ⅲ』)からそれぞれ1曲ずつ。
ディスク2の7曲は、 『Ⅱ』から3曲、『Ⅰ』、『Ⅲ』、『Ⅲ』のアウト・テイク、『プレゼンス』から各1曲だ。
つまり、ディスク1は、7曲中4曲を占める『フィジカル・グラフィティ』特集である。ディスク2は、『Ⅰ』~『Ⅲ』(アウト・テイク含む)からの曲が計6曲で大半を占めている。というか、ディスク1にも、3曲あるから、このアルバムの全体が、『Ⅰ』~『Ⅲ』と『フィジカル・グラフィティ』特集ということになるわけだ。

これは、かなりかたよった選曲と言えないだろうか。
『Ⅰ』から『Ⅲ』までの、ツェッペリンの初期のアルバムはもちろん素晴らしい。6枚目の『フィジカル・グラフィティ』も、良いアルバムだ。しかし、4枚目(フォー・シンボルズ)や5枚目の『聖なる館』、そして7枚目の『プレゼンス』を、ほとんど無視というのは極端ではないのか。まあその後の『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』と『コーダ』をスルーするのは当然としても。
たんにブラック・クロウズの面々が、この4枚をとくに好きだったということなのだろうか。

というわけでこのアルバムには、「天国への階段」は入っていない。4枚目には他に、「ブラック・ドッグ」とか、「ロックン・ロール」とか、「レヴィー・ブレイク」みたいな、いかにもブラック・クロウズに似合いそうな曲があるのだが、みんな無視されたわけだ。
次の『聖なる館』 の「ダンシング・デイズ」とか「オーシャン」なんかも、クロウズに向いていそうな気がするのだが。

しかし考えてみると、『Ⅰ』から『Ⅲ』と『フィジカル・グラフィティ』の中にも、こっちの方が良かったのでは、と思いたくなる曲がないではない。
『Ⅰ』から『Ⅲ』では、「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」とか、「コミュニケイション・ブレイクダウン( とか、「リヴィング・ラヴィング・メイド」みたい高速曲はどうして取り上げなかったのだろう。 
「ハウ・メニー・モア・タイムズ」なんかもリフが効いていて、クロウズ好みなのでは。
また、「ユー・シュック・ミー」をやるなら、他に「君から離れられない」とか「貴方を愛しつづけて」みたいなツェッペリン流ブルースの名曲もあったはずだが。
それからまた「幻惑されて」とか「移民の歌」のような代表曲は、いかにも当たりまえ過ぎて避けたのだろうか。でも「胸いっぱいの愛を」はやっているわけだし…。

『フィジカル・グラフィティ』では、「流浪の民」とか「 聖なる館」とか「夜間飛行」なんかでも、よかったような気がする。「ワントン・ソング」もそのひとつなのだが、これは実際に取り上げて演奏したようだ(ユー・チューブで見た)。
それから取り上げた「イン・ザ・ライト」と同じ系統ということで、「カシミール」なんかも面白かったのではないだろうか。

というわけで、何でこれらの曲ではなく、結果的にアルバムに収録されている14曲になったのかは、もうひとつよくわからない。あらためて、曲目をながめると、けっこう渋くてマニアックな選曲のようにも感じられる。
少なくとも、本家ツェッペリンがライヴで全然やらなかった曲(あるいはライヴでレアな曲)を入れよう、というこということは考えただろう。たとえば「カスタード・パイ」とか「イン・ザ・ライト」などのように。
それから、ツェッペリン・ナンバーとしては、あまりおなじみでない曲も入れようと思ったのかもしれない。『Ⅲ』のアウト・テイクで、シングルB面曲の「「ヘイ・ヘイ・ホワット・キャン・アイ・ドゥ」」(A面の「移民の歌」はやらないのにね)は、それにあたるだろう。
そしてもちろん、ペイジも含めたトリプル・ギターの迫力を活かせる曲を選んだに違いない。まあ、それでも、最終的に何でこういうラインナップになったのかは、いまひとつ納得がいかないわけだが。謎だ。


■「完コピ」とは違う曲についてのメモ

最初にも書いたとおり、基本「完コピ」の演奏の中で、オリジナルとは、ちょっと違う形で演奏している曲がいくつかある。以下は、それについてのメモだ。

「時が来たりて」

オルガンのイントロは、オリジナル版と若干違ったアレンジになっている
オリジナル版のラストは、ヴォーカルがリフレインしながらフェイド・アウトしていき、次の「ブラック・マウンテン・サイド」につながっている。ここでは、ヴォーカル・パートの後にギターの長いソロがあり、さらにその後イントロに準じたオルガン・ソロがあって終わっている。

「レモン・ソング」

オリジナル曲には、中盤に、ゆるやかに跳ねるベース・ラインの上で、ヴォーカルとギターが粘っこく絡む間奏パートがあった。
ここでの演奏では、間奏パートが2回繰り返されている。最初の方は長いギター・ソロがフィーチャーされ、2回目は、ヴォーカルとギターのオリジナルよりやや激しい絡みの後、ピアノにソロが回されている。

最初の方のジミー・ペイジのソロは、入り方を間違えた上に、なかなかのれず、かなり残念なプレイだ。

「ハートブレイカー」

ツェッペリンの代表曲。厚いリフがよい。
この曲には、あのギターの「無伴奏ソロ」があるわけだが、ペイジがどのようにこれを再現するのかが気になるわけだ。オリジナルとそっくりにやるのか。それとも、全然別のフレーズで来るのか。
結局は、スタジオ・テイクのフレーズをいかしつつ、ちょっと崩してみたというところ。当然だが、やっぱり往年のサエはない。

「ユー・シュック・ミー」

ツェッペリンのオリジナルは、ギター1本とサイドにオルガンが入るだけの演奏だった。それがここでは、ギター3本にピアノまではいってかなりにぎやか。幾重にも重なるスライドのうねりがすごいのではあるが…。
それから、ヴォーカルとギターのユニゾンが下降していく例の特徴的なフレーズまでは真似していない。
その結果、オリジナルにあった研ぎ澄まされた感じはなくなっている。そこが他のバンドにない、まさにツェッペリンの魅力だったのだが。何だかふつうのブルース・カヴァーになってしまった感じ。

「胸いっぱいの愛を」

前曲(「アウト・オンザ・タイルズ」)から連続して始まるところがニクイ。
中盤のサイケデリックなパートは、スタジオ・テイクの雰囲気を再現している(人力のエコー効果はちょっと笑える)。ただ、ペイジのソロは、原曲と違ってワウワウ・ペダルで歪んだ音にしている。


ツェッペリンはライヴでは、さまざまなロックン・ロールやブルース曲をはさんでメドレー形式で演奏していたが ここではあえてスタジオ・テイクの構成を再現している。

2014年5月28日水曜日

ペイジ&プラント 『ノー・クォーター』


今回のレッド・ツェッペリンのリイシュー・プロジェクトを勝手に記念して(?)、ツェッペリンをカヴァーしたアルバムのペスト3を選ぼうと思った。
セルフ・カヴァーも含め、あらためていろいろ聴き返してみたら、ツェッペリン・カヴァーの最高峰は、やっぱりジミー・ペイジ&ロバート・プラントの『ノー・クォーター』だった。あらためて再認識した次第。
というわけで、カヴァー・ベスト3はとりあえず置いといて、今回は『ノー・ク;オーター』について。

ペイジ&プラントの『ノー・ク;オーター(No Quarter: Jimmy Page & Robert Plant Unledded)』(1994年)』は、例のMTVアンプラグド発の企画アルバム。
原題にある「Unledded」は、番組アンプラグドのこの回のタイトルとのことだ。もちろん「アンプラグド(unplugged)」にかけているわけだが、さらに「unleaded(無鉛)」と、おそらくは、「Un-Led Zeppelin-ed (つまりツェッペリン抜き)にもかけていると思われる。

ちなみにこれに先立つ1990年に、「Un-led-Ed」というタイトルのツェッペリンのカヴァー・アルバムが出ている。ドレッド・ツェッペリン(Dread Zeppelin)(笑)というバンドのアルバムだ。ツェッペリン・ナンバーを、何とレゲエにアレンジしてカヴァーするというオフザケなアイデアなのだが、驚いたことにこの演奏がじつに素晴らしい(これを聴いてペイジは激怒したとかしないとか)。

さて、『ノー・ク;オーター』は、非常に評判が悪いアルバムだ。
これはツェッペリンの曲をアンプラグドつまり、アコースティックなアレンジで演奏したアルバムでは、全然ない。大半の曲を主に中近東風にアレンジした、ワールド・ミュージック的サウンドのアルバムなのだ。
そのためにツェッペリン・クラシックスの再現を期待したファンたちが、がっかりしたのもわからないではない。また、ワールド・ミュージック通の人たちは、その中途半端なアプローチの仕方が、物足りなかったらしい。

しかし時は流れた。このアルバムが発表されてから、今年でちょうど20年。ツェッペリンの再結成は、この間、別の形で実現した。そして、ワールド・ミュージックのブームもすでに去ってしまった。
今ならよけいな期待感なしに、白紙でこのアルバムを聴くことが出来る。するとあらためてこれはなかなかの傑作だということがわかるのだ。

何よりいいのは、ペイジとプラントが本気でやっていることだ。昔の曲をちょこっとやって、小遣いを稼ごうぜ、みたいなよくある話とは全然違う。
過去の曲を素材にしながらも、新しいものを創り出そうという二人の意気込みが伝わってくる。
プラントは、解散後ソロになってからずっと、ツェッペリン時代の曲を歌おうとしなかったという。そのプラントが、はじめてここで歌うことにしたのは、あくまで新しい曲として彼が取り組んでいたからだろう。
そんな二人のこだわりと、やる気のために、この回のアンプラグドは、それまでとかなり違う異色の展開になったわけだ。

CDに収録されているのは、全14曲。これらは、3種類の音源からなっている。MTVでのライヴ録音が9曲、スタジオ録音の曲が2曲、モロッコで現地ミュージシャンと録音した曲が3曲。CDには、これらがシャッフルされて収録されている。
特徴的なのは民族音楽的な要素が全編をおおっていることだ。モロッコでの3曲はいずれも新曲だが、現地ミュージシャンの音楽性を生かして当然モロッコ風。スタジオ録音の2曲「俺の罪」と「ノー・クォーター」も、トラッドから民族音楽へとつながっていくような曲調だ。
MTVライヴの9曲の内、4曲は例外で原曲に近い形での演奏。この仲の「サンキュー」、「ザッツ・ザ・ウェイ」、「ギャロウズ・ポウル」など、アコースティック・ギターがメインの曲は、いかにもアンプラグドの本来の趣旨にそった選曲だ。過去のツェッペリンを期待して会場に集まったファンへのサービスといったところか。
その他のライヴ5曲の内、1曲がオリエンタル風の気の抜けた新曲。残りの4曲はいずれも、旧作をアラブ~インド風にアレンジした魅力的な演奏だ。とくに「フォア・スティックス」、「フレンズ」、「カシミール」の3曲には、エジプト人のパーカッションとストリングスなどが加わり、強力な演奏を展開してこのアルバムのハイライトになっている。

なおアメリカ版リマスターCDには、手元のCDでは聴けない「The Truth Explodes」と「The Rain Song」が収録されており、また、DVD版はこれにさらに「レヴィー・ブレイク」を加えた全17曲収録とのこと。欲しいなあとは、思うのだが…。

以下、CDの曲順ではなく、以上述べた音源ごとに各曲についてコメントしてみる。


■スタジオ録音

「俺の罪(Nobody's Fault but Mine)」

 原曲はブラインド・ウィリー・ジョンスンのブルース。『プレゼンス』では、ハード・ロックだったが、ここではバンジョーやハーディ・ガーディも入ってのアコースティックな演奏。トラッドと民族音楽が融合した感じ。

「ノー・クォーター(No Quarter)」

ヴォーカルとギターのみの演奏。歪んで深くエコーのかかった音は、ダークで荒涼とした世界を描き出している。まるで寒々としたイギリスの荒野を思わせるようだ。
ブリティッシュ・トラッドが、ときおり垣間見せるクールで荒涼とした手触りを、まさに抽出したような曲だ。

■モロッコ録音(すべて新曲)

「ヤラー(Yallah)」 

ドラム・ループに乗ってのインプロヴィゼーション。なかなかカッコいい。

「シティ・ドント・クライ(City Don't Cry)」
「ワー・ワー(Wah Wah)」

 現地ミュージシャンとの共演。ヒーリング感あふれる牧歌的な曲だ。

■MTVでのライヴ録音

「限りなき戦い(The Battle of Evermore)」

 もともとは、サンディー・デニーとのデュオによるトラッド色濃い曲だった。ここではインド人の女性ヴォーカリスト、ナジマ・アフタールをサイド・ヴォーカルに迎えている。
ナジマのヴォーカルは、朗々として伸びやか。マンドリンが前面に出ている演奏は原曲と同じだが、ナジマのコブシ回しのマジックによって、ハーディ・ガーディやパーカッションがインド風に聴こえる。これはこれで、なかなかよい。

「ワンダフル・ワン(Wonderful One)」

 新曲。ドラム・ループとギターの伴奏に乗って歌われるちょっと東洋風の曲 全然面白くない。

□MTVライヴのうち、エジプト人のパーカッションとストリングスなど(エジプシャン・アンサンブル)を入れた3曲 

「フレンズ(Friends)」

 アラブ風のイントロ付き。オリジナルの不穏で邪悪な陰りが、みごとにアラブ風に変換されている。

「フォア・スティックス(Four Sticks)」

 オリジナルは平板でつまらない曲だった。しかしここでの演奏は、この曲の新しい魅力を引き出している。ものすごい勢いで吹き抜けていくアラブの風が心地よい。

「カシミール(Kashmir)」

もともと中近東っぽい曲調だったが、さらに全体にスケール・アップして、インドから中近東に至る広大なエスニック・サウンドが展開している。
オリジナルの曲の本編の後に、このステージのための独自のエンディング・パートが4分にわたって付け加えられている。この演奏がとくに素晴らしい。途中で「ブラック・ドック」の一節も聴こえる。
まさに感動の一曲。

□MTVライヴのうち、オリジナルのアレンジにそった演奏の4曲

「サンキュー(Thank You)」

ほぼ原曲どおりの演奏。
ヘンテコなアレンジばかりでは、がっかりする人もいるだろうとの配慮からのファン・サービス(?)。
原曲より長いギター・ソロがあるが、いまひとつ冴えがない

「あなたを愛し続けて(Since I've Been Loving You)」

オリジナルはツェッペリン流ブルースの傑作。
ここでもほぼオリジナルどおりの演奏なのだが、ロンドン・メトロポリタン・オーケストラによるバック付き。華麗なストリングスが聴こえてきた時点で、私は完全にシラけてしまいました。

「ザッツ・ザ・ウェイ(That's the Way)」

ここから2曲は、アコースティック・ギター中心で、本来のアンプラグドの趣旨にのっとった選曲(それとも、エレクトリックの曲をアコースティックにアレンジして演奏するのが、アンプラグドの趣旨だったかな)。

オリジナルは浮遊するようなスライド・ギターの音が、夢見るような甘美な特別の世界を作り出していた。ここでの演奏は、スライドなしで、バンジョーとリズム隊入り。何だか普通の演奏になってしまった。

「ギャロウズ・ポウル(Gallows Pole)」

これもほぼオリジナルにそった演奏。
マンドリンとバンジョーがない代わりに、エジプトのストリングスが薄く入っている。それなりの出来。

参考文献:三田真「リフ中心の曲作りが開いたワールド・ミュージックへの扉」『レコード・コレクターズ』19962月号


2014年5月26日月曜日

ラーメン自由自在 タモリ流ラーメン・レシピのアレンジ


前回タモリ流ラーメンのレシピについて、いろいろ研究してみた。タモリ・レシピのいちばんの特徴は、いろいろなダシを調合して手軽に美味しいスープを作ることだった。
タモリのオリジナルのレシピは、醤油ラーメンだったが、このダシの調合を、いろいろアレンジして、塩、味噌、豚骨ラーメンを作ってみた。
もちろん本格的な味には及ばないけれども、お手軽にそれなりの味を楽しむことはできると思う。お試しあれ。


《タモリ流ラーメンのアレンジ・レシピ》

・材料

<
>
即席袋めん/1袋  または 生中華めん/1玉

<スープ>
下表のとおり。

スープの材料表 (お湯500ccに対して)



醤油ラーメン
塩ラーメン
味噌ラーメン
豚骨ラーメン

タレと
メイン
のダシ

・醤油/大さじ1
・鶏がらスープの素/小さじ1
・鶏がらスープの素/大さじ1
・塩/少々
・味噌/お玉1/
・豆板醤/小さじ1
・鶏がらスープの素/小さじ1
・白湯豚骨スープの素/大さじ1

和風
ダシ

・昆布だし/1グラム
・ほんだし/1グラム

動物系ダシ

・中華スープの素/1g
・鶏がらスープの素/1g

その他

・野菜/適量(または 砂糖/1グラム)
・油(ネギ油 ニンニク油、ごま油など)/小さじ1

*昆布だしがないときは、白だし(小さじ1)でも可。
*豚骨ラーメンのときは、動物系ダシに鶏がらスープの素を使う。中華スープの素は、ポークまたはビーフ・エキスがベースなので、豚骨スープの素とかぶってしまうため。
*湯を鍋で沸かしながら、野菜を煮込むと旨みと甘みが出て、より美味しくなる。野菜は、キャベツ、タマネギ、長ネギ、もやしなど。ない場合は、代わりに砂糖を入れると意外に美味しい。

<トッピング>
刻みネギ、メンマ、チャーシューなど(もしあれば)

*以下のようなものも入れると美味しい。
ハム、海苔、ごま、ニンニク(チューブ)、魚肉ソーセージ(これはとくにおすすめ)


・作り方

1
トッピングを用意する。
2
鍋に水と適当に切った野菜を入れて沸かす。
3 お湯が沸いたら、上の表に従って、ダシを入れて溶かす。
4
仕上げにタレ(醤油、味噌など)と油を入れて味を確認する。
5 別の鍋で麺を茹で、湯切りして丼に入れる
6.
丼にスープをそそぎ、トッピングをのせて完成。


2014年5月21日水曜日

タモリ流インスタント・ラーメン・レシピの研究


■はじめに

タレントのタモリ(敬称略)は、料理好きとしても有名だ。ときどき番組の中で、自分流のレシピを紹介すると、そのつどネットなどで話題になっているらしい。
タモリのレシピの特徴は、びっくりするほど独創的でありながら、すごく簡単で、しかも間違いなく美味しいということだ。
そんなタモリ流レシピの中でも、もっとも評判になったのがスープから作るインスタント・ラーメンのレシピだろう。

ここでは、このラーメンのレシピについて、番組で紹介されたオリジナルのレシピと、最近出た『タモリめし』という本に紹介されているレシピ、そしてそれを私なりにアレンジしたレシピの三つを紹介しながら検討を加えてみようと思う。


■タモリについて

敬称は略しているけれども、私はタモリを敬愛している。
まず芸人として面白い。ただし私の好きなタモリは、お茶の間の人気者になるずっと以前の初期の彼だ。中州産業大学や全冷中やハナモゲラ語やソバヤソバーヤなどをやっていた頃のタモリ。知的で毒があって刺激的だった。ああ懐かしい。

しかしタモリはその後も、さまざまな分野でその多才ぶりを発揮してきた。たとえば、NHKの番組『ブラタモリ』で見せる街歩きの際の軽妙で独自な目線。それから日本坂道学会副会長としての坂道に対する独特の美学。そして、その多才さのひとつがタモリ流のユニークな料理の世界ということになる。
ようするに、タモリは根っからのこだわり人間であり、また何でも自分流に楽しんでしまう人なんだと思う。私もあやかりたいものだ。


■レシピその1 番組で紹介されたオリジナル・レシピ

2010314日放送の『笑っていいとも!増刊号』でタモリが披露したのが、このインスタント・ラーメンのレシピ。放送後、主にネット上で大きな評判を呼んだ。実際にこれを作ってみた人の記事が、いくつも公開されている。
私はこの番組そのものは見ていない。ネット上のいくつかの記事をまとめると、このときタモリが披露したレシピは、以下のようなものだったらしい。

《番組で紹介されたタモリ流インスタント・ラーメンのレシピ》

・材料

<
> 即席袋めん(メーカーは問わない)

<ベーススープ> 鶏がらスープの素、昆布だし、ほんだし、中華スープの素

<
味付けスープ> 醤油、ネギ油、ネギ

<トッピング> メンマ、チャーシュー

*量は全て目分量
*中華スープの素についてタモリは、ユウキ食品の「味玉(ウェイユー)」を推奨しているとのことだ

・作り方

1
ネギをきざむ。
2
お湯に鶏がらスープの素、昆布だし、ほんだし、中華スープの素を入れ、ベーススープを作る。
3
チャーシューを薄切りにする。厚みは5ミリがベストとか。
4
ラーメン丼に、醤油、ネギ油、きざみネギを入れ、味つけスープを作る。
5
別の鍋で茹でた麺を、湯切りして丼に入れる。
6.
丼にベーススープをそそぎ、チャーシューとメンマをのせて完成。

・筆者(御隠居)の所見

このレシピの大きな特徴は次の3点だろう。

①既製のダシを使っていること
しかも4種類も使っている。
鶏がらスープの素と中華スープの素(ビーフまたはポークのエキスがベース)は動物系ダシで、昆布だしとほんだしは魚介系ダシ。つまり、いわゆるダブル・スープを意図しているわけだ。しかもそれぞれ2種ずつ使って、味に奥行きを出そうとしていることがわかる。

ただ、こういう粉末のダシは、塩分が含まれているのが普通。あまり入れ過ぎると、醤油なしでもかなりしょっぱくなってしまう。ネットで実際に作った人の出来上がり写真を見ると、どれもスープの色がかなり薄め。たぶん醤油の量を少なめにしないと塩気が強くなり過ぎてしまうためだと思われる。

②材料の分量が目分量なこと
ベテランの料理好きならではのことなのだろう。
しかし、いちいち量(はか)らない方が豪快でプロっぽく見えるから、多少、演出があるのかもしれない。

③スープを、ベーススープと味付けスープの二つに分けて作ること
本当はここがいちばん注目される特徴かもしれない。しかし、これは、「本格」風を演出するためのタモリのナンチャッテ・パフォーマンスなのではないか、と私はみている。お店で作っているなら意味はあるが、自分で一人分だけ作るなら分ける意味はあまりないと思うからだ。

でもとにかく、このとおりに作ると、インスタント。ラーメンがびっくりするほど美味しいのは間違いない。


■レシピその2 レシピ本『タモリめし』掲載のレシピ

最近(20145月)『タモリめし』という本が出た。タモリが番組で紹介した数々の料理の作り方を、一冊にまとめた本である。著者はタモリ自身ではなくて、大場聖史という人の監修となっている。この人が、タモリが喋った内容を、レシピの形に整えたものだ。

さて、この本にも、もちろん上のインスタント・ラーメンのレシピが紹介されている。しかも、こちらには、もともと目分量のはずだった材料の分量が、きちんと指定されているのだ。その内容は以下のとおり。

《『タモリめし』掲載のインスタント・ラーメンのレシピ》

・材料

<
>
即席袋めん/1袋

<ベーススープ>
鶏がらスープの素/小さじ1
昆布だし/小さじ1/
ほんだし/小さじ1/
中華スープの素/小さじ1/
お湯/400cc

<
味付けスープ>
醤油/大さじ1
ネギ油/小さじ1
ネギ/適量

<トッピング>
メンマ/適量
チャーシュー/2枚

*中華スープの素の分量は、「作り方」の説明文中では、小さじ1/2となっている。どちらが正しいのか?
*ここでもやはりタモリのおすすめの中華スープの素が、ユウキ食品の「味玉(ウェイユー)」であることが、ポイントとして紹介されている。

・作り方

作り方は上のオリジナル・レシピとほぼ同じなので省略

ただし、ひとつだけ違うのは、丼に麺とベーススープを入れる順序。上のオリジナル・レシピと逆になっている。
こちらのレシピでは、味付けスープの入った丼に、①まず先にベーススープをそそぎ、②その後、麺を入れている。

この方が味付けスープを溶かしやすいのと、盛りつけたとき麺が見えた方が体裁としていいためだと思われる。

・筆者(御隠居)による所見

ダシの分量から、この監修者は、ダブル・スープのベースを、鶏がらスープにはっきりと置いてメリハリをつけようとしていることがわかる。
また、お湯400ccに対して醤油大さじ1となっているが、これはかなり醤油が多めの感じだ。濃いめの汁を麺にからめて食べ、麺を食べ終えた後は、汁そのものは残すという前提だと思う。
鶏がらベースで、醤油味濃いめ。この2点から、この監修者は、中華そばとも呼ばれていた昔風のラーメンをイメージしていることがわかる。タモリ自身のオリジナル・レシピでは、そこまではっきりした方向性は出していないような気がするのだが。


■レシピその3 タモリ風ラーメンの略式レシピ

上に紹介したタモリ流レシピで、以前私もラーメンを作って食べた。もちろん美味しかった。その後どんどん自分流にアレンジしてきたので、しばらくこのレシピのとおりに作ったことはなかった。
この記事を書くにあたり、またオリジナルどおりに作ってみようと思ったのだが、材料が足りない。中華スープの素を切らしていた。このところ鶏がらスープの素で代用していたのだ。

せっかくだからタモリ推奨のウェイユーを使おうと思って、近所のスーパーを2、3店見てみたが、どこにも置いていなかった。代わりにライヴァルのウェイパー(味覇)は必ず見かけた。以前は、ウェイユーと両方置いてあったはずだが、ウェイパーに駆逐されてしまったのだろうか?(間違ってたらゴメン)。

しかし、ウェイユーにしろ、ウェイパーにしろ、こういう練りタイプの本格的中華スープの素を常備しているお宅は、そんなに多くはないだろうと思われる。
それから考えてみると、ほんだしはあっても、粉末の昆布だしも持っている家も少ないのでは。

そんなこんなで、なるべくふつうにある材料で代用しするなどして、工夫したのが以下の略式レシピである。タモリ・レシピの基本精神(?)は尊重しながら、本格よりも実質本位で、より簡単により美味しくを目指している。

《タモリ風ラーメンの略式レシピ》

・材料

<
>
即席袋めん/1袋  または 生中華めん/1玉

*もともとは、インスタント・ラーメンのレシピだったわけだが、もはや袋めんにこだわらない。生の中華めんもスーパーで手軽に安く手に入るのだから、こちらの方がおすすめ。

<スープ>
鶏がらスープの素/小さじ1
昆布だし/1グラム  または 白だし/小さじ1
ほんだし/1グラム
中華スープの素/小さじ1/4  または その他のだし1グラ ム
醤油/大さじ1(お好みで調整)
ネギ油/小さじ1  または ごま油/小さじ1
お湯/500cc
野菜/適量  または 砂糖/1グラム

*スープは、ベーススープと味付けスープに分けて考えないことにする。一緒に作っても大差なし。
*中華スープの素は、鶏がらスープの素があれば持っていないことが多いと思われる。その場合は、その他のもので代用する。コンソメ、オニオンスープの素、貝柱スープの素、豚骨白湯スープの素、さば、いわし系のだし等。とにかく何か一種類入れる。
*湯を鍋で沸かしながら、野菜を煮込むと旨みと甘みが出て、より美味しくなる。野菜は、キャベツ、タマネギ、長ネギ、もやしなど。ない場合は、代わりに砂糖を入れると意外に美味しい。

<トッピング>
刻みネギ、メンマ、チャーシューなど(もしあれば)

*以下のようなものも入れると美味しい。
ハム、海苔、ごま、ニンニク(チューブ)、魚肉ソーセージ(これはとくにおすすめ)

・作り方

1
トッピングを用意する。
2
鍋に水と適当に切った野菜を入れて沸かす。
3 お湯が沸いたら、鶏がらスープの素、昆布だし、ほんだし、中華スープの素を入れて溶かす。
4
仕上げに醤油、ネギ油を入れて味を確認する。
5 別の鍋で麺を茹で、湯切りして丼に入れる
6.
丼にスープをそそぎ、トッピングをのせて完成。

・おまけ
以上の略式レシピは、タモリの本格志向からはちょっと外れてしまったかもしれない(カンベン)。しかし、とにかく美味しい。とくにスープが美味しい。一見あっさりのように見えて、いろいろのダシ成分のおかげで、けっこう濃厚な味わいだ。なので、中華めんの代わりに、ためしにスパゲッティを使ったら、これが意外な美味しさ。うどんやそばでもいいんじゃないだろうか。おためしあれ。