2013年10月26日土曜日

「つけ麺 坊主」の魅力 総集編


今回は「つけ麺 坊主」訪問の最終回スペシャルとして、このお店の魅力について私なりに語ってみたい。


■ 「つけ麺 坊主」の魅力あれこれ

水戸のラーメン店「つけ麺 坊主」ののれんを初めてくぐったのは、たしか2010年の夏だった。もともと激辛が大好きだったので、辛いという評判を聴きつけて早速足を運んでみたのだった。
とりあえず「つけめん」を頼んだ。これがものすごく辛かった。ひいひい言いながらなんとか麺だけは完食。しかしつけ汁は、スープ割りしてもほんの一口しか飲めなかった。

それでも、たちまち私はこの店のとりこになったのだ。多いときは週3回くらい通った。その頃、開店1周年の記念ということで、店の名前入りの赤い(唐辛子の色だ)タオルをもらったのを覚えている(今は期間限定の「極辛麻婆らーめん」を完食するともらえるあのタオルだ)。

通っているうちに辛さにも慣れて、「つけめん」ならつけ汁まですいすいと平気で完食できるようになった。近頃は辛さが物足りなくて「つけめん」を頼むことはない。
最初の頃は美味しいお店だからと、何回かラーメン好きの知人を連れて行ったものだ。しかし辛さのために一人も完食できた人はいなかった。以来、他人を誘って行くのはやめにしている。

このお店の魅力はもちろんその味だ。辛いだけでなくて、ちゃんと美味しい。というより辛さと旨さが一体になっている。だから、このお店の味から辛さを抜いたら美味しいのだろうかとも思う。

それとこのお店のもうひとつの魅力は、御主人の几帳面な人柄だ。カウンターの中の厨房で調理をしているのだが、動きがとにかくきびきびしている。麺を鍋から上げてテボで湯切りしているときなど誠心誠意やっているのが伝わってくる。
その他、器や道具の洗い方から、店内の掃除までこの姿勢が一貫していて見ているだけでじつに気持がいい。カウンターに座りながら頼んだものができるのを待つ間、御主人の動きを見ているのが、ちょっとした楽しみでもある。

それからこれも魅力のひとつと言えると思うのだが、それは満腹になれることだ。このお店は全メニューで麺の大盛が無料。大盛だと、麺は茹で上がりの状態で450グラム。生麺換算だと約300グラムになると思う。生麺の1食分は150グラムがふつうだから、けっこうな量だ。
それからご飯(ここでは「白めし」と呼んでいる)が100円というのも安い。しかもこれも大盛無料なのだ。私はラーメンを食べるときは、つねにご飯も一緒に頼むので、これは本当にうれしい。
辛くて美味しいものを無我夢中で食べ、満腹になれる。何ともぜいたくで幸せなひと時をこの店は味あわせてくれるのだ。


■ 「坊主」における私の流儀と楽しみ

坊主での私の定番は「特製らーめん」だ。この美味しさをとことん味わうために、私はいつも次のような食べ方をしている。

<第一の段階>  まずレンゲてスープをすくって飲む。今日のスープの出来はどんな具合かじっくり吟味する。脂の量、甘さ、旨み、味噌のこく、塩気の塩梅等々を味わう。日によって微妙に違う。しかしまあ結局のところ、いつも美味しいことに変わりはない。
「判定」が済んだら、今度は心おきなくくレンゲですくって飲む。何度も何度もひたすらレンゲを口に運ぶ。この間、具材や麺にはいっさい手を触れない。ただときどき合い間に、ご飯を食べて口直しをする。こうして食べるご飯がまたこの上なく美味しい。
このあたりで、すでに鼻水が出始める。

<第二の段階> ひと心地ついたところで、今度はは麺に取り掛かる。
どんぶりの中央に盛り上がっているモヤシと豚肉の山を崩して平らにならし、さらに周囲に寄せてどんぶり中央にスープの池を作る。そしてそこから箸を入れ、隠れている麺を軽く揺すってほぐし、それから少しずつ麺をすくい上げる。
スープに浸っていた麺は口に入れると熱い。その熱さで口の中が辛い。刺されるように痛辛い。それでも麺の歯応えを楽しむ。モチモチして旨い。しかし、口の中は火事場状態なので、のんびりはしていられない。これがいいのだ。そしてひたすら麺だけを食べる。モヤシや豚肉はよけて、麺だけを食べ続ける。

鼻水に加えて、顔面や頭の全体から汗が噴き出してくる。忙しくティッシュで鼻をかみ、ハンカチで汗を拭いながら食べ続ける。いつの間にか食べることに没入して無我夢中になっている。無我の境地だ。これが激辛の醍醐味なのである。

<第三の段階> そうやって麺が減ってきたら、そこでようやく具材と麺を一緒にからめて食べ始める。麺に比べて具材の比率がかなり多いから、具材の歯応えと旨さをぜいたくに堪能できるのだ。相変わらず口の中は火事場状態だが、その中で味わうモヤシのシャキシャキの食感や豚肉の旨さはまた格別だ。
そうこうするうちに麺と具材を完食して、無我の境地から醒めることになる。

<第四の段階> そしてここからは、<第一の段階>以来手をつけていなかったご飯と残ったスープを交互に口に入れながら楽しむことになる。そして完食。当然満腹になっている。

食べ終えても鼻水と汗はすぐにはおさまらない。それがおさまるまで、コップの水を飲み鼻をかみながら辛さの余韻を味わう。何んとも言えない至福の時間だ。ああ今日もおいしかった。


■ 「坊主」のメニュー紹介(「激辛」以上)

「つけ麺 坊主」のメニューのうち、「激辛」以上のものは以下のとおりだ。上から辛い順になっている。カッコ内の辛さの表示は、店内のメニューに記載のもの。

・極辛麻婆つけめん (超極辛、2月・8月限定)
・極辛麻婆らーめん (超極辛、2月・8月限定)
・特製麻婆つけめん (極辛)
・特製麻婆らーめん (極辛)
・特製つけめん (超激辛)
・特製らーめん (超激辛)
・麻婆辣麺 (激辛)
・つけめん (激辛)
  *
・麻婆めし(激辛)

辛さのランクが「激辛」→「超激辛」→「極辛」→「超極辛」と上がっていくわけだ。そしてそれぞれの辛さで、つけめんとらーめんが対になっている。ただし、ちょっとややこしいのは「激辛」で、「つけめん」と対になるのは「麻婆辣麺」。名前的には「らーめん」のはずなのだが、どういうわけか「らーめん」は「やや辛」なのだった。

店内に辛さランキングが表示してある。それによると、同じ辛さであれば、らーめんよりつけめんの方が辛いことになっている。たしかに、らーめんのスープよりつけめんのつけ汁の方が、中身は同じでも濃いわけだから、成分的には辛いにちがいない。しかし、つけめんは冷たい麺に絡めて汁の温度が下がるのに対し、らーめんの方は全体が熱々の状態で食べるので、体感的にはらーめんのほうがずっと辛いと感じると思う。

それから辛さがアップしていくにつれて具材が若干違っている。一番大きな違いは、超激辛メニューにだけ、他には入っている麻婆豆腐が入っていないことだ。そのかわり具材のモヤシと豚肉は他よりもたくさん入っている。私はこの具材が多い点がうれしくてもっぱら「特製らーめん」を食べている。

季節限定の「極辛麻婆つけめん」と「極辛麻婆らーめん」は、辛さも具材の豊富さもそして値段も、このお店の最高峰のメニューだ。具材はレギュラーのモヤシと豚肉に加えて、ニラ、メンマ、ユズなどが入る。トッピングには、麻婆豆腐に刻みネギと赤い粉末(唐辛子+だし粉?)がかかり、さらに海苔が添えられている。このお店の美味しいものが総終結した感じだ。これで値段は1080円也。安いのでは?
そして辛さがすごい。スープの色が見た目からして違う。限りなく深い赤。そして限りなく奥深い辛さだ。極辛以下のメニューにカウンターに用意してある唐辛子を入れても、こんな辛さにはならない。
食べていると、忘我の境地になる。絶え間なく鼻水と汗が噴き出して、食べ終えた後には体の中がすっきりと浄化されたような気分になる。この爽快感が味わいたくて、2月と8月には何回もお店に足を運ぶことになる。ただし、このメニューだけは、激辛好きの私でも、食べた後かなり胃にこたえるのもたしかだ。

ちなみにこのお店の人気の第一位のメニューは「坊主つけめん」(ちょい辛)なのだそうだ。


■ 「坊主」のトッピング・メニュー紹介

「つけ麺 坊主」にはさまざまなトッピング・メニューがある。中にはこのお店ならではのユニークなものも。一応全部頼んでみたので、コメントを添えながら紹介しよう。

・ 「ネギ」 (100円)
刻みネギがラーメンとは別の器にたっぷりと出てくる。これで100円は安い。個性の強いスープの絶妙のアクセントになる。いちばんのお奨め。

・ 「バター」 (100円)
一辺が2センチ以上はありそうな立派なサイコロ型。麺に絡めて食べると、濃厚な風味が広がって、ぜいたくで幸せな気分になれる。辛さもマイルドに。

・ 「コーン」 (100円)
スープに甘さとコクを付け加えるし、その歯応えがいいアクセント。麺の後に残ったスープが、コーンのおかげで「御馳走感」アップ。最後の最後まで楽しめる。

・ 「味付玉子」 (100円)
ここの味玉は、つけておく調味液も激辛。半分にカットせずに丸のまま麺に乗ってくる。黄身はかなりユルめ。箸で割ると中身がどろり。これを麺と絡めると美味しい。

・ 「生玉子」 (50円)
50円はお得な感じ。割ってないものが小鉢に入って出てくる。これをいつラーメンに割り入れるか、そしていつくずすのか…。楽しく悩みたい。辛さがマイルドに。

・ 「納豆」 (50円)
水戸ならではのトッピング。これも50円でお得。一緒に刻みネギと辛子とタレが付く。ラーメンに入れると意外な美味しさ。クセのある味がスープに奥行きを与える。

・ 「のり」 100円
海苔は3枚。枚数的には、ちょっと物足りない。でも上物らしくスープの味に負けない風味がある。私はスープをたっぷり吸わせてご飯に乗せて食べるのが好き。

・ 「白めし」 (100円)
ついでに紹介。普通のご飯のこと。普通盛でもけっこうな量だが、さらに無料で大盛にも。これで100円はすごく安い。ラーメンの合い間に口直しに食べている。

以上だけど、これらを単品だけでなく、組み合わせても面白そうだ。たとえば「生玉子」と「納豆」とか、「ネギ」と「納豆」なんて、意外な美味しさが楽しめそう。


以上で私の「つけ麺 坊主」訪問の連載は終了です。御愛読ありがとうございました。


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