2013年5月18日土曜日

公園日記 「新宿御苑」

ゴールデン・ウイーク後半の5月4日に新宿御苑に散歩に出かけた。
ここを訪ねるのはこれで2度目。新宿にはよく行くのに、この公園はなかなか訪ねる機会がなかった。そのうちゆっくり歩いてみたいとずっと思っていたのだ。

新宿三丁目の駅を降りて新宿通りを四谷方面に1ブロックほど歩き、画材の世界堂の角を右に曲がる。すると、もうその先に新宿御苑の一画が見えている。そちらに向って歩いている人もけっこういる。
新宿門から園内に入った。知らなかったが今日はみどりの日なので、入園料(200円)は無料とのこと。ちょっと得した気分になる。
時間はお昼ちょっと前。やはり休日なので、ゲート付近はかなりにぎわっている。
とりあえず園内をぐるりと一周してみようと思い、門からそのまま左方向へぶらぶら歩いていく。樹木の数が多くて、密に植えてある。さっきまで都会の真ん中を歩いていたのに、急に深い森の中に入ったような感じだ。

歩き出してすぐに、そういえば園内に貴重な洋館があることを思い出した。私は洋館を見るのが好きで、あちこち見て回っている。しかし、今日は事前によく調べてきていなかった。うろ覚えだが、その洋館はたしか昔の休憩所の建物だったような記憶がある。
そこで園内のマップを見て、「中央休憩所」と書いてあるのがそれではないかと思った。マップを頼りに木々の間を抜け、レストランの前を通り、翔天亭という茶室のわきを抜けて、そこにたどり着く。しかしそれはコンクリートの本当の休憩所。洋館などでは全然ない。あらためてマップをよく見てみると、「旧洋館御休所」というのがちゃんと別にある。早とちりだった。

しかし、この中央休憩所の前はじつに気持の良い一画だった。緩やかな起伏があるのがいい。そこに木立と芝生がほどよく配されている。奥には日本庭園の池と深い林が見える。芝生のそこここにシートを広げて幾組もの人々がのんびりと座っている。いかにもゆったりとした時間が流れていた。

洋館をめざしてそこから北の方向へ歩いていく。途中イギリス風景式庭園というのを横切った。高い木々に囲まれて芝生が広々と広がっている。まあ、ただそれだけの場所だ。だから最初そこがイギリス式の庭園とは思わなかった。しかし、マップをよく見ると「イギリス式」ではなく「イギリス風景式」と書いてある。なるほど、これがイギリス風景なのかと納得がいく。
ここにも広々とした芝生の上にシートを広げて座っている人たちがたくさんいる。しかし、かなりの広さなので、混みあっている感じはない。

そして目的の「旧洋館御休所」に無事到着。
ここも今日は無料で公開しているとのこと。うれしい。
この建物は、昔この公園が皇室の庭園だった時代に、皇族方が休憩する場所として建てられたものとのことで、現在は重要文化財に指定されている。
靴を脱いで上がり、中をひとわたり見学する。タイル張りのバスルームが幾つもある。内部の細かい造りや装飾に、ここを利用した当時の人々の息遣いを感じる。これが洋館ウォッチの醍醐味だ。

洋館に漂う雰囲気を十分に味わって外に出ると、先のほうにガラス張りの大きな現代的な建物が見える。あれは温室らしい。ついでにこれも見ていくことにする。
近づいていくと、総ガラス張りで曲線を生かした超現代的なピカピカの建物だ。中に入ると温かい地方の植物がぎっしり植えられている。
私は、洋館に加えて温室とか水族館も好きなのだ。べつに熱帯の植物や魚に特別の興味があるわけではない。そのワクワクするような雰囲気が好きなのだ。
この温室の建物は、外も中も新品なので帰ってから調べてみたら、長らくの休館のあと、昨年の11月にリニューアル・オープンしたばかりとのこと。ちっとも知らなかった。
よく整備されていて、池があったり滝があったりと中の順路もよく出来ている。建物の外に細長い堤を作って、内側から見える景観もうまく整えてあった。
ここの内部の空間の仕切りの壁がちょっと変わっている。鉄筋のような金属を荒い格子状に組んで壁の表面を作り、その中に石を入れているのだ。モダンでしかも自然な感じがいい。
 ゆっくり南方の植物を堪能して外へ出る。

温室を出たところで、隣を歩いていたグループから「バラを見に行こうよ」という声が聴こえてきた。園内にバラの咲いているところがあるらしい。マップを見ると、一番奥のフランス式整形庭園というというところにバラの花壇があることがわかる。

そこへ向って大木戸休憩所から玉藻池を渡る。暗い木立の間を抜けると急に大きく空間が開けた。そこにプラタナスの並木にはさまれて広大なフランス式整形庭園があった。幾何学的に整形された庭園の周囲が、バラの花壇になっている。
ぐるっと一周しながら見て回る。いろいろな品種のバラが植えてあったが、時期的にはまだちょっと早い感じだった。それでも早咲きのものは満開に近い状態で、その前には人が集まっていた。

そこから南側の日本庭園に入り、長く続いている池のほとりを歩いていく。木立が深くて、日陰に入るとちょっと涼しいくらいだ。
池のほとりにある中国風の旧御涼亭から景色を眺めた。この向かい側に、さっきまちがえた中央休憩所がある。先ほどよりさらに芝生の人が増えている。
そこを出たところにある藤棚の前のベンチで少し休憩した。

そして、樹木の間をくぐって、再び入ってきた新宿門に戻った。約一時間半の気持の良い散歩だった。洋館から温室、そしてバラ園と行き当たりばったりだったけれど、そこがまた楽しかった。そして何より、広々とした空間でみんながのんびりと過ごしている。この何とも平和で穏やかな雰囲気がよかった。

公園を出て新宿3丁目の交差点辺りまで来ると、街はいつものように人の波であふれていた。やっぱり休日は公園に限るな。

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