2012年4月4日水曜日

私のロック・アルバム・ベスト20

このところ何回かアーティスト別のアルバム5選を考えてきた。マニアというのは、これが楽しいんだよね。そしていずれはマイ・フェイバリット・ロック・アルバム・ベスト10なんてのをやってみたいと思っていた。

そんな折、たまたま机の引き出しを整理していたら、何やらアルバム名をごちゃごちゃと書き込んだ紙切れが出てきた。よく見ると、なんとそれは以前に自分で考えたアルバム・ベスト20だったのだ。すっかり忘れていた。たぶんこれを考えたのは、数年前のことだったと思う。昔から同じようなことをやっていたんだなあ(苦笑)、何しろマニアだからねえ。
しかし、あらためて驚いたのは、そのアルバムのセレクションが、今の私とほとんど同じだったこと。今の自分が見ても、なかなかよくできている。つまり自分が全然進歩してないというわけだ。
見ているうちに、これを考えていたときの楽しい時間がだんだん思い出されてきた。くそ、これからこんなの作って楽しもうと思ってたのになあ、もう出来上がっていたとは。

 しかし、無数ともいえるロック・アルバムの中からこうしてたった20枚を選んでみると、私の音楽遍歴と、さらには私がどういう音楽的嗜好の人間なのかがはっきりとそこに投影されていることがわかる。なので、ちょっと気恥ずかしい思いもある。。
ともかくそういうわけで、今回はその内容のご紹介。あわせて一言コメントもつけてみた。

<マイ・フェイバリット・ロック・アルバム・ベスト20>

1 「アビイ・ロード」 ザ・ビートルズ
2 「エグザイル・オン・メイン・ストリート」 ザ・ローリング・ストーンズ
3 「ブラッド・オン・ザ・トラックス(血の轍)」 ボブ・ディラン
4 「ハウス・オブ・ザ・ホーリー(聖なる館)」 レッド・ツェッペリン
5 「ロータス」 サンタナ
6 「シカゴ・トランジット・オーソリティ(シカゴの軌跡)」 シカゴ
7 「4ウェイ・ストリート」 クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング
8 「ラークス・タング・イン・アスピック(太陽と戦慄)」 キング・クリムゾン
9 「フォックス・トロット」 ジェネシス
10 「ブレイン・サラダ・サージェリー(恐怖の頭脳改革)」 エマーソン・レイク&パーマー
11 「ウィッシュ・ユー・ワー・ヒア(炎)」 ピンク・フロイド
12 「クロース・トゥ・ジ・エッジ(危機)」 イエス
13 「メタル・ボックス(セカンド・エディション)」 パブリック・イメージ・リミテッド
14 「フォー・ハウ・マッチ・ロンガー…」 ザ・ポップ・グループ
15 「レガッタ・ドゥ・ブラン(白いレガッタ)」 ザ・ポリス
16 「フィア・オブ・ミュージック」 トーキング・ヘッズ
17 「ティン・ドラム(錻力の太鼓)」 ジャパン
18 「ジョン・レノン/プラスティック・オノ・バンド(ジョンの魂)」 ジョン・レノン
19 「パレード」 プリンス
20 「テクノデリック」 イエロー・マジック・オーケストラ

<ベスト20についてのコメント>

《ロックの別格の方々の3枚》

1 「アビイ・ロード」 ザ・ビートルズ
2 「エグザイル・オン・メイン・ストリート」 ザ・ローリング・ストーンズ
3 「ブラッド・オン・ザ・トラックス(血の轍)」 ボブ・ディラン

*この三枚は、言わずと知れたロック界の別格の存在の代表作。それぞれの代表作は、選ぶ人の世代、好みによって違うか、私は絶対的にこれだな。

《70年代ロックのヒーローたち》

4 「ハウス・オブ・ザ・ホーリー(聖なる館)」 レッド・ツェッペリン
5 「ロータス」 サンタナ
6 「シカゴ・トランジット・オーソリティ(シカゴの軌跡)」 シカゴ
7 「4ウェイ・ストリート」 クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング
 
*70年代のロックのヒーローたちの名盤。本当はこれに、クリーデンス・クリア・ウォーター・リヴァイバル(アルバムは「コスモズ・ファクトリー」あたりかな)を加えて、きりよく(?)5枚にしたかったのだが枠が足りなくて…。
ツェッペリンの「ハウス・オブ…」とサンタナの「ロータス」(日本でのライヴ)は、とうとうこんなところまで来たかと思わせる彼らの到達点を示すアルバムだった。
シカゴは、これが脅威のデビュー・アルバム。これと、次作は表現意欲と体制への怒りにあふれた熱血アルバムだった。
しかしこの後、彼らはみごとに日和って金儲けに走ることになる。
CSN&Yは、こういうときは「デジャヴ」が一般的だろうが、生々しく彼らの存在感が伝わってくるこのライヴが私は好きだし、小さくまとまったスタジオ作より、のびのびしたこちらの方がじつは彼らの最高傑作なのではと思っている。

《プログレ5大バンド》

8 「ラークス・タング・イン・アスピック(太陽と戦慄)」 キング・クリムゾン
9 「フォックス・トロット」 ジェネシス
10 「ブレイン・サラダ・サージェリー(恐怖の頭脳改革)」 エマーソン・レイク&パーマー
11 「ウィッシュ・ユー・ワー・ヒア(炎)」 ピンク・フロイド
12 「クロース・トゥ・ジ・エッジ(危機)」 イエス

*私はプログレが好きだ。そして5大バンドはそれぞれに、そして、それなりに好きだった。
クリムゾンは、何といっても「クリムゾン・キングの宮殿」が名盤の誉れ高い。私もそれに異論はない。が、音楽的には「太陽と戦慄」の方がほんの少し優れている(比べても仕方がないが)。「恐ろしい混沌」の「宮殿」に対して「異次元の音世界」の「戦慄」。
残りの4バンドの4枚は、それぞれの音楽の頂点を示すアルバムだ。ということはつまり、その後、いずれも音楽的には下降線をたどっていくことになる。まあ「金儲け」的にはむしろこの後、上昇していくんだけどね。

《ポスト・パンク/ニュー・ウエーブの私的5大バンド》

13 「メタル・ボックス(セカンド・エディション)」 パブリック・イメージ・リミテッド
14 「フォー・ハウ・マッチ・ロンガー…」 ザ・ポップ・グループ
15 「レガッタ・ドゥ・ブラン(白いレガッタ)」 ザ・ポリス
16 「フィア・オブ・ミュージック」 トーキング・ヘッズ
17 「ティン・ドラム(錻力の太鼓)」 ジャパン

*たちまちビジネスに飲み込まれていった70年代のロックの流れに「ノー」を突きつけたのがパンクのはずだった。だがその動きもまた、じつは他ならぬビジネスが仕掛けたものだったとは…。「パンク」がその後ジャンル化するなんて、悪い冗談としか言いようがない。
しかし、様式化し硬直化しようとするロックの流れに抗して、新しい表現の世界を切り開こうとするグループがパンク後にいくつも現れたのには目を見張った。
その中の私のベスト5が上のグループだ。これらのアルバムによって私の感覚も押し広げられたような気がする。
世評のベストは「Y」(ポップ・グループ)、「シンクロニシティ」(ポリス)、「リメイン・イン・ライト」(ヘッズ)だろうが、私は上記がベストだと断言する。
こうして並べてみると、どのグループも充実していた活動期はとても短かった。しかし、その後もグループの残党たちがそれなりによい活動を続けていて、ずっと目を離せなかった。

《ロックの孤高のアルバム2枚》

18 「ジョン・レノン/プラスティック・オノ・バンド(ジョンの魂)」 ジョン・レノン
19 「パレード」 プリンス

*何となくここまではカテゴリー別にバンドを眺め、そのアルバムを選んできた。だが、それではどうしてももれ落ちてしまうすごいアルバムがあった。それがこの2枚だ。
ジョン・レノンもプリンスもこの前後のアルバムを聴いたが、それほどでもなかった。この2枚だけが突出した特別のアルバムなのだ。
二人の個人的なキャリアと感性が時代とクロスして火花を散らしたマジカルなアルバム。

《日本のグループからも1枚》

20 「テクノデリック」 イエロー・マジック・オーケストラ

*日本のロックもそれなりに聴いてきたことだし、ここで1枚くらいは日本のアルバムを入れたいと思った。しかし、こういうランキングで、欧米のグループに伍して名を挙げられるような日本のバンド、アルバムはなかなかない。
結局日本のロックが欧米のロックの真似事に終始してきたからだ。はっぴいえんどもムーン・ライダースもフラワー・トラヴェリング・バンドも村八分も、みんなそれぞれが下敷きにした海外の音楽が透けて見えてしまう。
それに加えてアルバムの作りがどれも中途半端。必ず捨て曲で水増ししてある。プロデューサーがだめなのか。
そんな観点で何とか独自の音楽と言えるのが、結局は唯一この時期のYMOということになるのかもしれない。

<ベスト20からもれた残念アルバム>

上に入れることができなかった残念なバンドやアルバムがある。ついでだから列記しておこう。

《60年代末から70年代のロックのヒーローたち》

クリーム 「ホイールズ・オブ・ファイア」
グレイトフル・デッド 「ブルース・フォー・アラー」
ザ・バン ド 「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」
クリーデンス・クリア・ウォーター・リヴァイバル 「コスモズ・ファクトリー」
グランド・ファンク・レイル・ロード 「ライヴ」
オールマン・ブラザーズ・バンド 「アット・フィルモア・イースト」
リトル・フィート 「ウェイティング・フォー・コロンバス」
マウンテン 「ツイン・ピークス」

《プログレの忘れられないアルバム》

ソフト・マシーン 「Ⅲ」
ブランドX 「ライヴ・ストック」
UK 「UK」
アルティエ・メスティエリ 「ティルト」

《ニュー・ウエーブの心に残るバンド》

ギャング・オブ・フォー
キリング・ジョーク
ワイアー
フライング・リザーズ

《ロックの孤高のアルバム(その2)》

フランク・ザッパ 「ホット・ラッツ」
デヴィッド・バーン&ブライアン・イーノ 「マイ・ライフ・イン・ザ・ブッシュ・オブ・ゴースツ」
ピーター・ガブリエル 「So」

 こうして挙げていると、いろいろとコメントしたくなるが、またいずれじっくりと書くことにしよう。今回はここまで。

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