9月に入ってようやく秋の気配を感じるようになった。
それにしても今年の夏も暑かった。暑い上に、私の場合は身内の入院などもあって身辺が落ち着かなかった。そのためなかなか精神的に集中できず、このブログも更新できないままになってしまった。
■最近の『レコ・コレ』誌の特集についてあれこれ
そんな暑い夏に届けられた『レコード・コレクターズ』誌。毎号楽しみにしているのだが、特集がどれも今ひとつ。暑さを忘れる役には立ってくれなかった。
2014年9月号のメイン特集は、「日本の女性アイドル・ソング・ベスト100」。取り上げられている曲は、リアル・タイムで聴いていたから、いろいろと思い出もある。しかし、この手の特集は、いつもそうなのだが、どれもこれもあまりに褒めちぎリ過ぎ。そこがどうにもシラケてしまうのだ。結果的に時代を反映してはいても、創造性とか表現という点では、そんなたいそうなものじゃないでしょう。
この号の第2特集がピンク・フロイドの『対』。
『対』は、ロジャー・ウォーターズ脱退後のギルモア期の作品。この時期のピンク・フロイドは、過去の遺産で食っているナツメロ・バンドだ。私にとっては、もうピンク・フロイドではない。なので、この特集にも興味なし。
続く10月号の特集は、ポール・マッカートニー&ウイングスの『ヴィーナス・アンド・マース』と『アット・ザ・スピード・オブ・サウンド』。これってポールのアルバムの中では、言わずと知れた「凡作」と「駄作」。だからこそのセット扱い(リマスター発売も、この特集も)ということか?いずれにせよ読む気が起こらない。
10月号のもうひとつの特集が、オールマン・ブラザーズ・バンドの『1971 フィルモア・イースト・レコーディングス』。これは久々のヒットだ。
これまで、いろいろな形で発表されてきたこのときのオールマンズのフィルモア・イースト音源。この特集では、演奏そのものについてだけでなく、これまでのさまざまなエディションについても触れられていて、この雑誌らしい、まさにかゆいところに手が届くような内容になっている。
まあこの6枚組は、高価なせいもあるけど、あまりにも資料的な感じがして買う気になれないけどね。
ちなみに次号予告によると11月号の特集は、またもや「女性アイドル・ポップス・ベスト100」で、今度は80年代編とか。もういいかげんにしてくれよ。
■ザ・ポップ・グループの再発
10月号のページの中で、特集よりも記事よりも、私の目を釘付けにしたのは、ある小さな広告だった。それは、ザ・ポップ・グループのアルバム『We Are Time』の再発のお知らせ。
『We Are Time』は、ザ・ポップ・グループのサード・アルバムにあたるが、オリジナル・アルバムではなく、ライヴ、デモ、アウト・テイクを編集したレア音源集だ。そのためかアルバムとしては、たぶん過小評価されていると思う。しかし、ここに収められているライヴ音源など、当時の私には衝撃的だった。
それが、リマスターされて紙ジャケ化されるとは。後年になって『Idealists In Distress From Bristol』というライヴ音源もCD化されたが、やはり『We Are Time』の音の破壊力は格別だ。また、じっくり聴いてみたいな。
これとあわせて『Cabinet of Curiosities』という、レア音源集も出るとのこと。これも買いだな。ただ、輸入盤で『Curiosities』 という2枚組も出てるのだが、これとどう違うのだろう。曲をセレクトして1枚にしたのだろうか。よくわからん。
それにしても、ザ・ポップ・グループがらみの再発が、しぶとく続いている。
ちなみに去年の私の最大の収穫は、リップ・リグ&パニックの三枚のアルバムの再発だった。リップ・リグは、ザ・ポップ・グループの残党が結成したグループのひとつ。彼らのアルバムは、それまで長いこと廃盤状態だったのだ。
こうした再発の動きは、ロックの歴史におけるザ・ポップ・グループの評価が深く静かに続いているという背景があるだろう。たしかにすごいグループだった。彼らのヒリヒリするような音は、今聴いても、いやむしろ今だからこそ、最高にリアルだ。
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